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懐剣
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かいけん
ふりがな文庫
“
懐剣
(
かいけん
)” の例文
旧字:
懷劍
私
(
わたくし
)
は
右
(
みぎ
)
の
懐剣
(
かいけん
)
を
現在
(
げんざい
)
とても
大切
(
たいせつ
)
に
所持
(
しょじ
)
して
居
(
お
)
ります。そして
修行
(
しゅぎょう
)
の
時
(
とき
)
にはいつも
之
(
これ
)
を
御鏡
(
みかがみ
)
の
前
(
まえ
)
へ
備
(
そな
)
えることにして
居
(
お
)
るのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
もう、彼女の
啜
(
すす
)
り泣きは、
永劫
(
とこしえ
)
にやんでいた。——
俯
(
う
)
っ伏した黒髪は、血しおの中へ、べっとりと乱れ、手はかたく
懐剣
(
かいけん
)
の柄を握っていたのである。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとおば上からは、ご
料
(
りょう
)
のお
上着
(
うわぎ
)
と、おはかま
着
(
ぎ
)
と、
懐剣
(
かいけん
)
とを、お別れのお
印
(
しるし
)
におくだしになりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
お祭といふとすぐに子供の時を思ひ出すが、余がまだ十か十一位の事であつたらう、田舎に
郷居
(
さとい
)
して居た伯父の内へお祭で招かれて行く時に余は
懐剣
(
かいけん
)
をさして往た。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
内ぶところには竜胆寺家伝来の
懐剣
(
かいけん
)
をふかく秘めて、朝霧をわけつつ山茶花屋敷へとむかいました。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
コーブは折りかさなって富士男を
膝下
(
しっか
)
にしき、
懐剣
(
かいけん
)
をいなづまのごとくふりかぶった。瞬間! ドノバンは石のつぶてのごとく、からだをもってコーブのからだにころげこんだ。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
帯の間から頭を出しているのは
懐剣
(
かいけん
)
らしい。男は
昂然
(
こうぜん
)
として、行きかかる。女は
二歩
(
ふたあし
)
ばかり、男の踵を
縫
(
ぬ
)
うて進む。女は
草履
(
ぞうり
)
ばきである。男の
留
(
とま
)
ったのは、呼び留められたのか。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
緋じりめん鹿ノ子絞りの目ざめるような
扱帯
(
しごき
)
キリキリと締め直して、
懐剣
(
かいけん
)
甲斐々々しく乳房の奥にかくした菊路を随えながら、ふたりの姿は朝あけの本所をいち路番町に急ぎました。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
之を形容すれば文明女子の
懐剣
(
かいけん
)
と言うも可なり。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
若
(
も
)
しもあの
懐剣
(
かいけん
)
が、
私
(
わたくし
)
の
墓
(
はか
)
に
収
(
おさ
)
めてあるものなら、どうぞこちらに
取寄
(
とりよ
)
せて
戴
(
いただ
)
きたい。
生前
(
せいぜん
)
と
同様
(
どうよう
)
あれを
守刀
(
まもりがたな
)
に
致
(
いた
)
し
度
(
と
)
うございます……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
公平が取出したのは、一握りの黒髪と
懐剣
(
かいけん
)
だった。巻いてある白紙には、生々しい血しおが滲み出していた。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同時にかれの手は早くもポケットの
懐剣
(
かいけん
)
にかかるやいなや、
怪光
(
かいこう
)
一せん、するどくホーベスの
横腹
(
よこはら
)
をさした。ホーベスは、びょうぶをたおしたように、ばったり地上にたおれた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「こゥれ、返事をしない口はその口か」と言いざま、手早く
懐剣
(
かいけん
)
を
抜
(
ぬ
)
きはなって、そのなまこの口をぐいとひとえぐり切り
裂
(
さ
)
きました。ですからなまこの口はいまだに裂けております。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
すぐにお
判
(
わか
)
りになったものと
見
(
み
)
え『フムその
懐剣
(
かいけん
)
なら
確
(
たし
)
かに
彼所
(
かしこ
)
に
見
(
み
)
えている。
宜
(
よろ
)
しい
神界
(
しんかい
)
のお
許
(
ゆる
)
しを
願
(
ねが
)
って、
取寄
(
とりよ
)
せてつかわす……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大兵
(
だいひょう
)
のコーブをみごとにはねかえした、かえされたコーブもさるもの、
地力
(
じりき
)
をたのみにもうぜんと
襲来
(
しゅうらい
)
した、その右手には、こうこうたる
懐剣
(
かいけん
)
が光って、じりじりとつめよる足元は
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
二人は背なかあわせに立って、血ぬられた陣刀と
懐剣
(
かいけん
)
を二方にきっとかまえている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いっているうちに帯から抜いた
懐剣
(
かいけん
)
! 万吉の縄目をぷっつり切って
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きらめく
懐剣
(
かいけん
)
、ぴかッと呂宋兵衛の
脇腹
(
わきばら
)
をかすめる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“懐剣”の意味
《名詞》
懐 剣(かいけん)
懐に入れて持ち歩く護身用の短刀。
(出典:Wiktionary)
“懐剣”の解説
懐剣(かいけん)とは、日本刀のうち短刀の拵(外装)の様式の一つである。
護り刀(まもり-がたな)、または懐刀(ふところ-がたな)ともいう。
(出典:Wikipedia)
懐
常用漢字
中学
部首:⼼
16画
剣
常用漢字
中学
部首:⼑
10画
“懐”で始まる語句
懐
懐中
懐手
懐紙
懐疑
懐炉
懐柔
懐刀
懐胎
懐妊