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憖
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なまじ
ふりがな文庫
“
憖
(
なまじ
)” の例文
情
(
つれ
)
なかりし昔の報いとならば、此身を
千千
(
ちゞ
)
に
刻
(
きざ
)
まるゝとも
露壓
(
つゆいと
)
はぬに、
憖
(
なまじ
)
ひ
仇
(
あだ
)
を
情
(
なさけ
)
の御言葉は、心狹き妾に、恥ぢて死ねとの御事か。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
政「親方そう泥坊をぶん殴って、
憖
(
なまじ
)
いに殺しては
却
(
かえ
)
って係り合になりますから、ふん縛って
突出
(
つきだ
)
したら宜しゅうございましょう」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
受たる十三兩の金子は
負
(
まけ
)
てあげ
樣
(
やう
)
程
(
ほど
)
に跡の金を殘らず御返しなされ然すれば此事は
是切
(
これきり
)
にして上るなり夫が一番
上分別
(
じやうふんべつ
)
憖
(
なまじ
)
ひに
押
(
おし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
憖
(
なまじ
)
い隠しだてされるとやり難いんですが——、それはきっと初子に取って不利な事なんでしょう、しかし、僕の主義として徹底的に調べたいんです。
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
又考へて見ると、
憖
(
なまじ
)
ひ人などを信じるよりは金銭を信じた方が間違が無い。人間よりは金銭の方が
夐
(
はる
)
か
頼
(
たのみ
)
になりますよ。頼にならんのは人の心です!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
であるから
憖
(
なまじ
)
いな学者達、もしくは道徳家達は福沢は不都合な奴だとか、社会の道徳を破壊するとか、福沢の議論は浅薄だとか、いわゆる倫理、道徳
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
己
(
おの
)
れやれ是が味方であったら……此処から
喚
(
わめ
)
けば、
彼処
(
あすこ
)
からでもよもや聴付けぬ事はあるまい。
憖
(
なまじ
)
いに早まって
虎狼
(
ころう
)
のような
日傭兵
(
ひやといへい
)
の手に掛ろうより、其方が
好
(
い
)
い。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
われに
好
(
よ
)
き
計略
(
はかりごと
)
あり、及ばぬまでも試み給はずや、
凡
(
およ
)
そ
狐
(
きつね
)
狸
(
たぬき
)
の
類
(
たぐい
)
は、その
性質
(
さが
)
至
(
いたっ
)
て
狡猾
(
わるがしこ
)
く、
猜疑
(
うたがい
)
深き獣なれば、
憖
(
なまじ
)
いに
企
(
たく
)
みたりとも、
容易
(
たやす
)
く捕へ得つべうもあらねど。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
何をって、僕は
憖
(
なまじ
)
っか文学の分る連中よりも仕事が手っ取り早いよ。考える世話がないから簡単だ。前の晩に泊った宿屋の横額を手帳につけて置いてそれを利用する。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
憖
(
なまじ
)
ひに教養のあればあるだけ、自らを省みて臆病にしか振舞ふことが出来なかつたので、私に救ひを求めるやうな——それでゐて、決して然し自分の要求を露骨には表はすことが出来ずに
蝉:――あるミザントロープの話――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
名は小使だが、一平には特殊の技能と一種の特權があツて、其の解剖室で威張ることは
憖
(
なまじ
)
ツかの助手を
凌
(
しの
)
ぐ位だ……といふのは、解剖する屍體を解剖臺に載せるまでの一切の世話はいふまでも無い。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
憖
(
なまじ
)
ひ、波の音ばかりが
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
憖
(
なまじ
)
ひ
継子
(
ままこ
)
などに生れたらんよりは、かくて在りなんこそ
幾許
(
いかばかり
)
か
幸
(
さいはひ
)
は多からんよ、と知る人は
噂
(
うはさ
)
し合へり。隆三夫婦は
実
(
げ
)
に彼を恩人の忘形見として
疎
(
おろそか
)
ならず取扱ひけるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
晴さんとの
惡念
(
あくねん
)
芽
(
きざ
)
しけるこそ恐ろしけれ斯て吾助は
好
(
よき
)
機
(
をり
)
あれかしと
隙
(
ひま
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひけるに喜内は何事も愼み深く其上武術に達しければ
憖
(
なまじ
)
ひに手出を
成
(
なし
)
て仕損じては一大事と
空敷
(
むなしく
)
半年餘りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何卒
(
どうぞ
)
お見逃し下さい、親共は堅い気性でございまして、此の儘帰れば手打に相成ります、それも
厭
(
いと
)
いませんが
却
(
かえ
)
って
憖
(
なまじ
)
い立腹をさせるよりは今
一思
(
ひとおも
)
いに死んだ方が宜いと存じますから……
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
陽炎
(
かげろふ
)
の影より淡き身を
憖
(
なまじ
)
ひ
生
(
い
)
き殘りて、
木枯嵐
(
こがらし
)
の風の宿となり果てては、我が爲に哀れを慰むる鳥もなし、家仆れ國滅びて六尺の身おくに處なく、天低く地薄くして昔をかへす夢もなし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「
私
(
わたし
)
のやうな者が
憖
(
なまじ
)
ひ人間の道を守つてをつたら、とてもこの世の中は渡れんと悟りましたから、学校を
罷
(
や
)
めるとともに人間も罷めて了つて、この商売を始めましたので」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
素
(
もと
)
より稻垣の家を興す認めはござらん、生甲斐のない我が身の果、死する時に死せざれば死に勝るの恥あり
憖
(
なまじ
)
いに[#「
憖
(
なまじ
)
いに」は底本では「
※
(
なまじ
)
いに」]生恥をかいて稻垣の苗字を
絶
(
たや
)
し
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尋ねらるゝ共一
向
(
かう
)
覺
(
おぼ
)
え申さずと云ふべし
憖
(
なまじ
)
ひに
知顏
(
しりがほ
)
なさば
懸合
(
かゝりあひ
)
となりて甚だ面倒なりと能々申合ければ菊女も
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
なし少しも案じ給ふ事なかれ何事も
知
(
し
)
らずと申すべしとて夫れより夫婦支度を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此の眼病では迚も刀の詮議も仇敵の
所在
(
ありか
)
も知れよう道理はない、世に捨てられた私の身の上、
憖
(
なまじ
)
いに[#「
憖
(
なまじ
)
いに」は底本では「
※
(
なまじ
)
いに」]
生恥
(
いきはじ
)
を掻くよりも
寧
(
いっ
)
その事一思いに割腹して相果てようか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
憖
漢検1級
部首:⼼
16画