なれ)” の例文
すべて物になるればその妙あり、山猟さんれふなれたる者は雪の足跡あしあとを見てそのけものをしり、またこれは今朝のあしあと、こは今ゆきしあとゝその時をもしる也。
なんてませた言い方だろう、もうなれになっているから、船中同士はさのみ驚かないけれど、七兵衛につれられて来た若い女その人は、真赤になりました。
元より養ふ人なければ、食物も思ふにまかせぬにぞ、心ならずも鷲郎は、なれわざとて野山にかりし、小鳥などりきては、ようやくその日のかてとなし、ここに幾日を送りけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
其夏の事なりし師匠ししやう感應院のともして和歌山の城下なる藥種屋市右衞門やくしゆやいちゑもん方へ參りけるに感應院はおくにて祈祷の内寶澤はみせに來り番頭ばんとう若者もみな心安こゝろやすければ種々さま/″\はなしなどして居たりしかるに此日は藥種屋にて土藏の蟲干むしぼしなりければ寶澤もくら二階にかいへ上りて見物せしがつひに見もなれざる品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人の足立あしたてがたき処あれば一でうみちひらき、春にいたり雪うづだかき所は壇層だん/\を作りて通路つうろ便べんとす。かたち匣階はこばしごのごとし。ところものはこれを登下のぼりくだりするにあしなれ一歩ひとあしもあやまつ事なし。
なれになって事をなしつつあったのだが、自分の昨日の安定を与えたものは、徳川初期の先祖の血の賜物であったに過ぎないということを、今しみじみと自覚せしめられました。
ことなれたるをどりのけいご、かの水とりらもそのほどを見てむこに三こんいははせ、かの手桶の水を二人して左右よりむこかしらたきのごとくあぶせかくる。これを見て衆人みな/\抃躍てをうちてめでたし/\といはふ。
氷にをかけたるは江戸の目には見もなれ可笑をかしければ、京水と相目あひもくしてわらひをしのびつゝ、是はあたひをとらすべし、今ひとさらづゝ豆の粉をかけざるをとて、両掛りやうがけ用意よういしたる沙糖さたうをかけたる削氷けづりひ
是にうまれ是になれて、年々の㕝なれども雪にこもりをるはおのづから朦然まうぜんとして心たのしからず。しかるに春の半にいたり雪囲ゆきかこひ取除とりのくれば、日光明々としてはじめて人間世界にんげんせかいへいでたるこゝちぞせらる。