あし)” の例文
新字:
掛て飴色網代に仕立したてしは此伊賀亮が計ひなり如何に越前守此儀あしかるべきやと問詰とひつめれば越前守は言葉なく無念におもへども理の當然なれば齒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あり勝ちの夫婦喧嘩ですから、どうかあしからず」と云つて、若いが、こんな場合だけに血の氣の失せたやうな顏で笑つた。
悦ぶ孝といふべし生知せいちの君子九皋きうかうに鳴て聲天にきこゆる鶴殿をあしくも見あやまり狡才猾智の人とせしこそくやしけれ誠や馬を相して痩たるに失ひ人を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
予は自らも餘りに我儘にして人づきあしき事を知れど、不思議にもわが我儘を許して長く變らぬ僅少の親しき友を有せる事を思ふ毎に限り無く嬉しき心地して胸の躍るを覺ゆ。
あしき歌の例を前に擧げたれば善き歌の例をこゝに擧げ可申候。惡き歌といひ善き歌といふも四つや五つばかりを擧げたりとて愚意を盡すべくも候はねど無きには勝りてんといささつらね申候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
榮燿ええうくらすやに相見あひみさふらふ、さるにても下男げなん下女げぢよどもの主人しゆじんあしざまにまをし、蔭言かげごとまをさぬいへとてはさらになく、また親子おやこ夫婦ふうふ相親あひしたしみ、上下しやうか和睦わぼくして家内かない波風なみかぜなく、平和へいわ目出度めでたきところはまれさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかはす夫にて皆々不肖ふせう致せと白洲の外に控へ居たる一人の男を呼出よびいだされしに久しく日の目を見ざりしと見え顏色かほいろあしけれ共よく肥太こえふとりたりイザ此者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「どうせ、廣告はせんでも、田舍者には決つてをるのぢや。どうか、田舍者でもあしからず——さア、うは髯の先生、五分刈りの旦那、一杯どうです」
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
見るが如し所によりてはやことばの斯く變るは面白し此のかにいろ/\歌あれど今作り添へたるものにて卑俗聽くにたへず諸國風俗唄の古きにはよきが多し是等取調べてあしきは捨てよきを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
させ同道どうだうして江戸表へ出んと其身も支度したくに及びける母はかね覺悟かくごとは言ながらしきりに泪にかきくれて娘の文を近くまね今更いまさら云迄もなけれどあしき病を請ぬ樣に心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
收めたり夜具よるのものも清くして取扱ひ丁寧なり寐衣ねまきとてあはせいだしたれど我はフラネルの單衣ひとへあればこれにて寐んと一枚を戻せしにいかにあしくは聞取りけん此袷きたなしと退けしと思ひ忽ち持ち行きて換へ來りしを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)