そく)” の例文
入道のそく本間三郎から「……父のきみに会わせるには、鎌倉どののおゆるしを得ねばならん。それの来る日まで、城内にいて待たれよ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私情から申してもうらみがござる。公情から申せば主義の敵でござる。貴殿にたたかいを宣するしだい、ご用心あってしかるべくそうろう。——もも久馬きゅうまそく兵馬ひょうまより山県紋也やまがたもんや殿へ
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
常陸ひたちの太守であった親王(兵部大輔はそのそくである)が年をおとりになってからお持ちになった姫君が孤児になって残っていることを何かのついでに命婦が源氏へ話した。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
梵天ぼんてん帝釈たいしゃくの許しを得、雷となって自分に辛かった人々に怨みを報じようとしているのに、尊閣のそく浄蔵が法力を以てさまたげをなし、自分を降伏させようとするのは心外である
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
振返ると、そこには院長沢村さわむら氏のそく、学友の沢村春生はるおが、にこにこ笑いながら立っていた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
わたくしは——じつ相州そうしゅう荒井あらい城主じょうしゅ三浦道寸みうらどうすんそく荒次郎あらじろう義光よしみつもうものつまだったものにございます。現世げんせ呼名よびな小櫻姫こざくらひめ——時代じだい足利時代あしかがじだい末期まっき——いまからやく四百余年よねんむかしでございます。
〔譯〕一そく間斷かんだん無く、一こく急忙きふばう無し。即ち是れ天地の氣象きしやうなり。
憲兵が立ち去るのと入れ違いに、老博士のそく新一青年が入って来た。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ただそくも養うあり、しゅんも存することあり、この心惺々せいせい明々めいめいとして、天理一息の間断なくして、わずかにこれよく昼を知るなり。これすなわちこれ天徳てんとくにして、すなわちこれ昼夜の道に通じて知るなり。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
また、アクトール生めるそくメノイチオスは警めて、 785
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
一挙に席巻せっけんし、一気に統治の実をあげてしまおうと、そく信忠もつれてゆく予定で安土へ呼び、今や出陣の準備に忙しい最中であったのである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時テラモーン生めるそく、大アイアース答へ曰ふ
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
ちょうど関東大坂手切れとなって、大御所のそく右大臣秀忠は、関東の兵をすぐって大坂へ発向しようという間際であった。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長のそく信忠も、中国へ加勢にゆく支度中だったが、信長は
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)