後刻のち)” の例文
腹も立たずか言譯しながら後刻のちに後刻にと行過るあとを、一寸舌打しながら見送つて後にも無いもんだ來る氣もない癖に
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また出てしょうと思いやあがって、へん、そう旨くはゆかないてや、ちっとのの辛抱だ。後刻のちに来て一所に寝てやる。ふむ、痛いかざまを見ろ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「吉里さん、後刻のちに遊びにおいでよ」と、小万は言い捨てて障子をしめて、東雲の座敷へ急いで行ッてしまった。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
後刻のちともいわさず、今が今という速急な話……こうしてこうじ果てて考えている時間さえも今の人の話の容子ではあぶないほどのこと……ハテ、どうしたものかと考えた所で師匠は留守
ムヽ五兩と云ては吾儕おれの身では大金ながら後刻のちまでに急度きつと調達こしらへもつくるが然して金の入用と邪魔じやまの手段は如何いふわけか安心するため聞せてと云ば元益庄兵衞の耳のほとりへ口さし寄せ何事やらんやゝ霎時しばらく私語さゝやきしめすを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はらたずか言譯いひわけしながら後刻のち後刻のちにと行過ゆきすぎるあとを、一寸ちよつと舌打したうちしながら見送みおくつてのちにもいもんだもないくせ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後刻のちに高田が来るはずだから、この方はあれにくれてやって、金にするとしてまずしと。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
腹も立たずか言訳しながら後刻のちに後刻にと行過ゆきすぎるあとを、一寸ちよつと舌打しながら見送つてのちにも無いもんだ来る気もない癖に
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
後刻のち學校がくかうはうぜの約束やくそく信如しんによ田町たまちあねのもとへ、長吉ちようきち我家わがやかたへと行別ゆきわかれるにおもひのとゞまる紅入べにいり友仙ゆうぜん可憐いぢらしき姿すがたむなしく格子門かうしもんそとにととゞめぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
臺處だいどこへ抛り込んで置たら子細はあるまい、さあ履き替へて夫れをお出しと世話をやき、鼻緒の切れしを片手に提げて、それなら信さん行てお出、後刻のちに學校で逢はうぜの約束
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
台処だいどこほをり込んで置たら子細はあるまい、さあ履き替へてそれをお出しと世話をやき、鼻緒の切れしを片手に提げて、それなら信さん行ておいで後刻のちに学校で逢はうぜの約束
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)