密林みつりん)” の例文
われをわすれ、樺の密林みつりんけこんだ。見ると、なかでも大きな一本の樺の木に、あの竹童のっている荒鷲あらわしがつながれてあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
景色けしきひくしたのぞむものとおもつてたのに、繰返くりかへしていふが、密林みつりんあひだは、さながらながれうかんでぶのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きると、密林みつりんうへたか気侭きままぶのがきで、またその飛行振ひかうぶりが自慢じまんたねでもあつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
それはマグノリアの木にもあらわれ、けわしいみねのつめたいいわにもあらわれ、谷のくら密林みつりんもこのかわがずうっとながれて行って氾濫はんらんをするあたりの度々たびたび革命かくめい饑饉ききん疫病やくびょうやみんな覚者の善です。
マグノリアの木 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
密林みつりんおく
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ラランにつづいてペンペがサッと密林みつりんうへした。やがてはねととのへて、あたまたかくあげた。だんだんと下界したはなれる。もう千メートルだ。二からすはそこではじめてくちをきいた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
本来その報酬ほうしゅうとして竹童ちくどうわしをぬすんで、裾野戦すそのせんのおこるまえに、菊池半助の陣中へかけつけなければならなかったはずだが、密林みつりんのおくで、鷲をぬすみそこねて、竹童のため
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
光があみになってゆらゆらする。みんなの足並あしなみ。小松の密林みつりん
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこは密林みつりんのおくであったが、地盤じばんの岩石が露出ろしゅつしているため、一町四ほうほど樹木じゅもくがなく、平地はすずりのような黒石、け目くぼみは、いくすじにもわかれた、水が潺湲せんかんとしてながれていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随分ずいぶんふるむかしのこと、ヱヴェレストのはるかふもとに、ラランとよぶ一からすんでゐた。ものすごいほどくらい、こんもりとしげつた密林みつりんおくで、毎日まいにちうたつてる小鳥ことりなかのいゝむしなどをころしてべてゐた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)