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噫
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おくび
ふりがな文庫
“
噫
(
おくび
)” の例文
ただ先方はどこまでも
下手
(
したで
)
に出る手段を主眼としているらしく見えた。不穏の言葉は無論、
強請
(
ゆすり
)
がましい様子は
噫
(
おくび
)
にも出さなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は先ず胸を撫で降ろし自分の空腹は仕方がないので
噫
(
おくび
)
にも出さず、再び一郎の手を引くと、音痴な声を張上げ、「箱根の山は天下の険」
箱根の山
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
自分の専門のことなぞは
噫
(
おくび
)
にも出さないで、馬だの骨牌だのと一緒に、よく料理の事をいっぱし通のような口振で話したものだ。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
つい今日まで
噫
(
おくび
)
にも出さずにいたが、何で武大さんが急に死んでしまったのやら、その辺のことはさッぱり知らない——と、いうのであった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐
(
おもむ
)
ろに
後図
(
こうと
)
を策しても晩くはないと云ふ腹なので、中々あきらめてはゐないのだつたが、でもそんなことは、無論塚本に対しても
噫
(
おくび
)
にも出しはしなかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
そこでそんな顏馴染の住人達のことは彼女には
噫
(
おくび
)
にも出さないで、彼はずんずんその家のなかにはひつていつて、すました顏をしてヴェランダに腰を下ろした。
巣立ち
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
それで二度までも雁坂越をしようとした事はあったのであるが、今日まで
噫
(
おくび
)
にも出さずにいたのであった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
で、
終局
(
しまい
)
に只ほんの
看
(
み
)
て貰えば
好
(
い
)
いように言って、雑誌へ周旋を頼む事は
噫
(
おくび
)
にも出さないで、持って行った短篇を置いて、下宿へ帰って来てから、又下らん奴だと思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
さていよいよ駒を生んでより馬ども耳を垂れて
嚏
(
くさめ
)
噫
(
おくび
)
にも声せず、商主かの牝馬飛んだものを生んでわが群馬を煩わすと
悪
(
にく
)
む事大方ならず、
毎
(
いつ
)
もこれに乗り
好
(
よ
)
き食物を与えず。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
平素彼は彼女の前で
噫
(
おくび
)
にも出したことのない子供の名を
假令
(
たとひ
)
夢であるにしても呼んだとしたら、彼女はどんなに苦しみ出したかしれなかつた。彼は息を
吐
(
つ
)
いて安堵の胸を撫でた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
彼
(
かれ
)
はハヾトフが
昨日
(
きのふ
)
の
事
(
こと
)
は
噫
(
おくび
)
にも
出
(
だ
)
さず、
且
(
か
)
つ
氣
(
き
)
にも
掛
(
か
)
けてゐぬやうな
樣子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
て、
心中
(
しんちゆう
)
一方
(
ひとかた
)
ならず
感謝
(
かんしや
)
した。
這麼非文明的
(
こんなひぶんめいてき
)
な
人間
(
にんげん
)
から、
恁
(
かゝ
)
る
思遣
(
おもひや
)
りを
受
(
う
)
けやうとは、
全
(
まつた
)
く
意外
(
いぐわい
)
で
有
(
あ
)
つたので。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
森成さんの
御蔭
(
おかげ
)
でこの苦しみがだいぶ
退
(
ひ
)
いた時ですら、動くたびに腥い
噫
(
おくび
)
は常に鼻を
貫
(
つら
)
ぬいた。血は絶えず腸に向って流れていたのである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれを陽なたに出せば、
奸策
(
かんさく
)
歴然ですから、いかに高家たりとも文句は
噫
(
おくび
)
にも出せないはずと、てまえは固く信じまする
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐
(
おもむ
)
ろに
後図
(
こうと
)
を策しても
晩
(
おそ
)
くはないと云ふ腹なので、中々あきらめてはゐないのだつたが、でもそんなことは、無論塚本に対しても
噫
(
おくび
)
にも出しはしなかつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼
(
かれ
)
はハバトフが
昨日
(
きのう
)
のことは
噫
(
おくび
)
にも
出
(
だ
)
さず、かつ
気
(
き
)
にも
掛
(
か
)
けていぬような
様子
(
ようす
)
を
見
(
み
)
て、
心中
(
しんちゅう
)
一方
(
ひとかた
)
ならず
感謝
(
かんしゃ
)
した。こんな
非文明的
(
ひぶんめいてき
)
な
人間
(
にんげん
)
から、かかる
思遣
(
おもいや
)
りを
受
(
う
)
けようとは、
全
(
まった
)
く
意外
(
いがい
)
であったので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
坐禅をして
膝
(
ひざ
)
の関節を痛くしている事や、考えるためにますます神経衰弱が
劇
(
はげ
)
しくなりそうな事は、
噫
(
おくび
)
にも出さなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こわがって、
噫
(
おくび
)
にも公然とは口に出しません。そうだ、ご存知もありますまいが、果物売りの
鄆哥
(
うんか
)
ッていう小僧に、なおよくお訊きなすってごらんなさい
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐
(
おもむ
)
ろに
後図
(
こうと
)
を策しても
晩
(
おそ
)
くはないと云う腹なので、中々あきらめてはいないのだったが、でもそんなことは、無論塚本に対しても
噫
(
おくび
)
にも出しはしなかった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
叔父は
明日
(
あした
)
金をやると云って、僕の家族を姉の所へ転居させたのですが、越してしまったら、金の事は
噫
(
おくび
)
にも出さないので、僕は帰る宅さえなくなりました。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一と先ずあらましを云ってやって、日を置いてからと云う気になったのは、不意に老人を驚かすことのいかにも忍び難いのと、ついこの間も一緒に
呑気
(
のんき
)
な旅をしながら
噫
(
おくび
)
にも出さずにいたことを
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし彼はもう
先達
(
せんだっ
)
ての掛物についてはまるで忘れているかの如くに見えた。
李鴻章
(
りこうしょう
)
の李の字も口にしなかった。復籍の事はなお更であった。
噫
(
おくび
)
にさえ出す様子を見せなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
例の如く、「金が欲しい、飲みたいなあ」と云う言葉が三人の鼻先に恐ろしい程明瞭にブラ下って居たが、誰もそんな事は
噫
(
おくび
)
と一緒に噛み殺し、何食わぬ顔でたわいもない冗談ばかり云い合って居た。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
噫
(
おくび
)
にも
出
(
だ
)
さなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
“噫”の意味
《感嘆詞》
ものに感じて発する声。ああ。
応答の声。
(出典:Wiktionary)
噫
漢検1級
部首:⼝
16画
“噫”を含む語句
噫々
噫気
噫吁
噫吁戯
噫呼
噫嘻
噫斗筲之人
噫無情