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ばうぜん
ふりがな文庫
“
呆然
(
ばうぜん
)” の例文
其
(
そ
)
の
次
(
つぎ
)
の
室
(
ま
)
も、
他
(
た
)
は
推
(
お
)
して
知
(
し
)
るべしで、
珍什
(
ちんじふ
)
奇器
(
きき
)
殆
(
ほとん
)
ど
人界
(
じんかい
)
のものにあらず、
一同
(
いちどう
)
呆然
(
ばうぜん
)
として、
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
くものある
事
(
こと
)
なし。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼は
呆然
(
ばうぜん
)
とそこに立つて居たが、舌打をして、その杖を
渠
(
みぞ
)
のなかへたたきつけると、すたすたと家へ這入つて行つた。犬は二疋とも床下深く身を
匿
(
かく
)
して居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
五位は、寝起きの眼をこすりながら、殆ど周章に近い
驚愕
(
きやうがく
)
に襲はれて、
呆然
(
ばうぜん
)
と、周囲を見廻した。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たゞ
呆然
(
ばうぜん
)
として、凄まじい四方の樣子と、突き詰めた人々の顏を眺めてをりましたが、暫らくするとワツと父の死骸の上に、折り重なつて、泣き倒れてしまつたのです。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし彼女が返濟すべき前借の高を知つたとき、彼女は
呆然
(
ばうぜん
)
としてしまつた。せいぜい五十圓前後と思つてゐたのに、いつの間にか三百五十圓ほどになつてゐたからである。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
▼ もっと見る
折角の赤筋入りたるズボンをあたらだいなしにして
呆然
(
ばうぜん
)
としたまひし此方には、
件
(
くだん
)
の
清人
(
しんじん
)
惜
(
を
)
しき事しつと云ひ顔に
遽
(
あわ
)
てゝ床の
上
(
うへ
)
なるものを
匙
(
さじ
)
もてすくひて皿に
復
(
かへ
)
されたるなど
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
万作は
呆然
(
ばうぜん
)
として黙つてゐると、一人の賢さうな男が出て来てかう申しました。
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
けれども、或る夜は
發作
(
ほつさ
)
に
喘
(
あへ
)
ぎ迫る胸を
抑
(
おさ
)
へながら、私は
口惜
(
くや
)
しさに涙ぐんだ。
或
(
あ
)
る日は書きつかへて机のまはりに
空
(
むな
)
しくたまつた原稿紙の
屑
(
くづ
)
を見詰めながら、深い疲れに
呆然
(
ばうぜん
)
となつてゐた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
礼助は
豹変
(
へうへん
)
した兄を
呆然
(
ばうぜん
)
と
目守
(
まも
)
つた。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
消
(
け
)
しアレヨ/\と呼はりける其間に靱負は
遙
(
はる
)
か
沖
(
おき
)
の方へ行し樣子なれども
星明
(
ほしあか
)
りゆゑ今は定かに見え分ず主は
漸々
(
やう/\
)
に
波打際
(
なみうちぎは
)
へ
馳
(
はせ
)
來りて
透
(
すか
)
し見れば早靱負が
姿
(
すがた
)
は
影
(
かげ
)
もなく
末白波
(
あとしらなみ
)
となり行しは
不思議
(
ふしぎ
)
と云ふも餘りありと
暫時
(
しばし
)
呆然
(
ばうぜん
)
と
海原
(
うなばら
)
に立たりしが
何時
(
いつ
)
迄斯て居るとも更に其
甲斐
(
かひ
)
なければ
詮方
(
せんかた
)
盡
(
つき
)
て立歸りしが如何にも不思議は
晴
(
はれ
)
ざりしとぞ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼は
呆然
(
ばうぜん
)
と路の上に立つて、その人影を確めようと眼を
睜
(
みは
)
つた。人影は、路から野面の方へ田の
畔
(
あぜ
)
をでも伝ふらしく、石地蔵のあたりから折れ曲つた。さうして!
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
一瞬、寶屋の上下は、
騷
(
さわ
)
ぎの
坩堝
(
るつぼ
)
に叩き込まれました。下女のお作の悲鳴に驚いて飛んで來た人達も、あまりのことに、何をどうして宜いかわからず、唯
呆然
(
ばうぜん
)
として顏を見合せるばかり。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
魂
(
たましひ
)
の拔けたやうに、
呆然
(
ばうぜん
)
としてゐる貫兵衞を
促
(
うなが
)
し、か弱い乍ら、一番氣の
確
(
たし
)
かなお
蔦
(
つた
)
を手傳はせて、卯八一人の大働きで、水船から引上げた人間は五人、船頭の三吉と、
野幇間
(
のだいこ
)
の
巴屋
(
ともゑや
)
七平は
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
呆
漢検準1級
部首:⼝
7画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“呆然”で始まる語句
呆然自失