口入くちい)” の例文
両国のすしやという口入くちいれ宿は、そうした事の世話をするからと頼んでくれたものがあった。すると口入宿ではめかけの口ではどうだといって来た。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
此年このとしをして人樣ひとさま口入くちいれやら手傳てつだひやら、老耻おひはぢながらもせんまする、れどもしに苦勞くらう出來できぬもの、つく/″\おまへ夫婦ふうふはたらきをるに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
権助は口入くちい暖簾のれんをくぐると、煙管きせるくわえていた番頭に、こう口の世話を頼みました。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
平常へいじょう、むだづかいをせずにためていたかねがあるので、これから、宿屋やどやまろうと、すでにかおなじみの口入くちいへいこうと、その心配しんぱいはないけれど、さすがに心細こころぼそおもいました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お城御用あなほり土方口入くちい
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふくろなどが口廣くちひろことへど亥之いの昨今さくこん月給げつきうありついたも必竟ひつきやう原田はらださんの口入くちいれではなからうか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
また口入くちいへいくにしても、髪形かみかたちがきれいであれば、いっそう、いいところへ世話せわをしてくれるにちがいないとかんがえて、かねて、一はいってみたいとおもった、美容院びよういんあるきながらさがしました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
仕事しごとやのおきやうさんは八百屋横町やほやよこちやう按摩あんまをして伯父をぢさんが口入くちいれで何處どこのかおやしき御奉公ごほうこうるのださうだ、なに小間使こまづかひといふとしではなし、おくさまのおそばやお縫物師ぬひものしわけはない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その、まもなく、おたけが、口入くちい世話せわで、ある私立病院しりつびょういん病室びょうしつにいた、子供こどもいとなったのも、どうせつとめるなら、すこしでもくにおくるのにおかねおおいほうがいいとおもったからでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)