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包
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つヽ
必らず
深き
子細ありて
尋常ならぬ
思ひを
振袖に
包む
人なるべし、
扨もゆかしや
其ぬば
玉の
夜半の
夢。
我れには
有らぬ
親の
昔し、
語るまじき
事と
我れも
秘め、
父君は
更なり
母君にも
家の
耻とて
世に
包むを、
聞かせ
參らするではなけれど、一
生に一
度の
打明け
物がたり、
聞て
給はれ
憂き
身の
素性と
不幸の
由來に
悟り
初めて、
父戀し
母戀しの
夜半の
夢にも、
咲かぬ
櫻に
風は
恨まぬ
獨りずみの
願ひ
固くなり、
包むに
洩ぬ
身の
素性、
人しらねばこそ
樣々の
傳手を
求めて、
香山の
令孃と
立つ
名くるしく