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剛情
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ごうじょう
ふりがな文庫
“
剛情
(
ごうじょう
)” の例文
すると、あくまで
剛情
(
ごうじょう
)
な
馬
(
うま
)
は
急
(
きゅう
)
に
暴
(
あば
)
れ
出
(
だ
)
して、
甲
(
こう
)
の百
姓
(
しょう
)
をそこに
蹴倒
(
けたお
)
して、
手綱
(
たづな
)
を
切
(
き
)
って、
往来
(
おうらい
)
を
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
したのでした。
駄馬と百姓
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
賢造はとうとう
苦
(
にが
)
い顔をして、
抛
(
ほう
)
り出すようにこう云った。洋一も姉の
剛情
(
ごうじょう
)
なのが、さすがに少し
面憎
(
つらにく
)
くもなった。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
親達が失望して情ながる
面
(
かお
)
は手紙の上に浮いて見えるけれど、こうなると妙に
剛情
(
ごうじょう
)
になって、因襲の
陋見
(
ろうけん
)
に
囚
(
とら
)
われている年寄の
白髪頭
(
しらがあたま
)
を冷笑していた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
第一
剛情
(
ごうじょう
)
で、負けず嫌ひの癖に、別れた男に未練があるの、リヽーが可愛くなつたのと、しをらしいことを云ふのが怪しい。
彼奴
(
あいつ
)
が何でリヽーを可愛がるものか。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
少し
下脹
(
しもぶく
)
れの可愛らしい顔が涙に濡れて、
紅
(
あか
)
い唇のワナワナと
顫
(
ふる
)
ういじらしさは、どんな
剛情
(
ごうじょう
)
な平次も、折れるだろうと思われましたが、頑固に眼を閉じた平次は
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
剛情
(
ごうじょう
)
なKの事ですから、容易に私のいう事などは聞くまいと、かねて予期していたのですが、実際いい出して見ると、思ったよりも説き落すのに骨が折れたので弱りました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こらっ、どうしてもかえりましぇんか。日本人
剛情
(
ごうじょう
)
でしゅ、私、腕をふりあげます」
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
仲間にも、しきりと止められた利平であったが、
剛情
(
ごうじょう
)
な彼は
肯
(
き
)
かなかった。たかが多勢を
恃
(
たの
)
んで、時のハズみでする暴行だ。命をとられる程のこともあるまいと思った彼であった。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
だが私は小さい時から、どんなに打たれても打たれても全くは打ちのめされない
剛情
(
ごうじょう
)
な子であったのに違いない。だからこうした時にもなお一つの楽しい世界を持つことができた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
と
空
(
そら
)
恐
(
おそろ
)
しく
思
(
おも
)
うのであったが、また
剛情
(
ごうじょう
)
我慢
(
がまん
)
なるその
良心
(
りょうしん
)
は、とは
云
(
い
)
え
自
(
みずか
)
らはいまだかつて
疼痛
(
とうつう
)
の
考
(
かんが
)
えにだにも
知
(
し
)
らぬのであった、しからば
自分
(
じぶん
)
が
悪
(
わる
)
いのでは
無
(
な
)
いのであると
囁
(
ささや
)
いて
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と自分の思わくとお浪の思わくとの
異
(
ちが
)
っているのを悲む色を
面
(
おもて
)
に現しつつ、正直にしかも
剛情
(
ごうじょう
)
に云った。その
面貌
(
かおつき
)
はまるで
小児
(
こども
)
らしいところの無い、
大人
(
おとな
)
びきった
寂
(
さ
)
びきったものであった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此文字が何よりの証拠だから
何
(
ど
)
の様な悪人でも
剛情
(
ごうじょう
)
は張り得まい
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
が、私はミスラ君に約束した手前もありますから、どうしても暖炉に抛りこむと、
剛情
(
ごうじょう
)
に友人たちと争いました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
剛情
(
ごうじょう
)
なところが、——Kは学年中で帰れないのだから仕方がないといいましたけれども、向うから見れば剛情でしょう。そこが事態をますます険悪にしたようにも見えました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お前はどこまで
剛情
(
ごうじょう
)
なんだろう。そんなに拷問されたいのか。それでは」
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
代官
(
だいかん
)
は天主のおん教は勿論、
釈迦
(
しゃか
)
の教も知らなかったから、なぜ彼等が
剛情
(
ごうじょう
)
を張るのかさっぱり理解が出来なかった。時には三人が三人とも、気違いではないかと思う事もあった。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宗助は
剛情
(
ごうじょう
)
な
聴
(
き
)
かぬ気の腕白小僧としての小六をいまだに記憶している。その時分は父も生きていたし、
家
(
うち
)
の都合も悪くはなかったので、
抱車夫
(
かかえしゃふ
)
を邸内の長屋に住まわして、楽に暮していた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お前は、
剛情
(
ごうじょう
)
だな」とトラ十はいって、こんどは房枝の方に向き
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
のみならず頭がふらついて来ても、
剛情
(
ごうじょう
)
に相手へしがみついていた。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「さあ、それが判然しない。君も知っている通り死体検索から死期が推定されるが、二十分や三十分のところは、どうもハッキリしないのでネ。……とにかく大江山君もウララ夫人の
剛情
(
ごうじょう
)
なのには参ったといって
滾
(
こぼ
)
しているよ」
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、やはり押し黙ったまま、
剛情
(
ごうじょう
)
に敷瓦を見つめていた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“剛情”の意味
《名詞》
自分の考えを無理に押し通そうとするさま。強情。
(出典:Wiktionary)
剛
常用漢字
中学
部首:⼑
10画
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
“剛情”で始まる語句
剛情張
剛情者