さゝ)” の例文
夫が見兼て此の娘はわしが貰ったと傍に有りました刀掛の脇差の小柄を取りまして投げ附けますと、其の娘の乳の辺へさゝりました
ちよんぼりとあるうすまゆどうやらいたいけなつくりだけれども、鬼薊おにあざみはなかとばかりすら/\とびて、わる天窓あたまでもでてやつたらてのひらさゝりさうでとげ/\しい。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
胸に思うてゞ御座りませうが如何いかなることか此忠兵衞におはなしを如何どうぞなされて下されませとほしさゝれて長三郎はつと計にかほあからめ面目なげに見えけるが漸々にしてかうべを下げ和郎そなた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
指貫さしつらぬき候ひぬ然ども勇氣の喜内樣故さゝれながらも跳返はねかへし給ひ短刀にて唯一うちにと切掛きりかけ給ひしが御病中と云深手ふかでおはれし上なれば御くらみて吾助が小鬢こびんを少し斬れしのみ折柄をりから燈火ともしびきえければ吾助は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
能々よく/\うんかなひし事かなされど二日二夜海上にたゞよひし事なれば身心しんしんつか流石さすがの吉兵衞岩の上にたふふし歎息たんそくの外は無りしが衣類いるゐは殘らずしほぬれ惣身そうしんよりはしづくしたゝり未だ初春しよしゆんの事なれば餘寒よかんは五體に染渡しみわたはりにてさゝれる如くなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)