別々べつべつ)” の例文
それぞれ御用ごようちがうので、平生へいぜい別々べつべつになっておはたらきになり、たまにしかしょになって、おくつろあそばすことがないともうします……。
時間がたって、わたしたちが別々べつべつにねどこへ行かなければならないときになると、わたしは、かの女のためにナポリ小唄こうたをひいて歌った。
「きっと、うつくしいはなくにちがいない。」と、みんなは、たのしみにして、それをくろ素焼すやきのはちに、別々べつべつにしてえて大事だいじにしておきました。
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)
提灯ちょうちん提灯ちょうちん蝋燭ろうそく蝋燭ろうそくと、みぎひだり別々べつべつにつかんだ藤吉とうきちは、われるように、梶女かじじょからおもてにのがれた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
たに先生もほんとうに愉快そうだった。六班がみんな思い思いの計画で別々べつべつのコースをとって調査にかかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「例えばシェキスピールの生れた年は学者間に意見が一致していない。各自区々てんでんまちまち別々べつべつのことを言っている」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
こころ姿すがたとがいつもぴったり一するのが、こちらの世界せかいおきてで、人間界にんげんかいのようにこころ姿すがたとを別々べつべつ使つかけることばかりはとてもできないのでございます。
そして、わかれる時分じぶんに、二人ふたりは、もう一たずねってあいたいというまじないから、インドの魔法使まほうつかいからもらったびんと中身なかみあぶらとを別々べつべつってかえった。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにより先に刑務所けいむしょへ行って、父親にさようならを言うこと、それからてんでに荷物を持って別々べつべつの汽車に乗るために、別々の停車場ていしゃじょうわかれて行くという手順てじゅんを決めた。
陰気いんきあねは、少時しばしいもうとのことをわすれることができなかった。たとえ気質きしつちがっていても、そして、こうしているところすら、別々べつべつであっても、いもうとのことをわすれることができなかった。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)