初夜しよや)” の例文
此海やはてし知られね、この荒れや測り知られね、初夜しよや過ぎて、また後夜ごやかけて、闇ふかくはねふる千鳥、この雨を、また稲妻を、ひた濡れて乱るる千鳥。
まくらいて初夜しよやぐるころほひより、すこ氣候きこうがゆるんだとおもふと、およ手掌てのひらほどあらうといふ、ぞく牡丹ぼたんとなづくるゆきが、しと/\とはてしもあらず降出ふりだして
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かしこにいたり松明たいまつをあげてさしのぞき、遙下はるかしたにあるをつとにこゑかけ、いかにさむからん初夜しよやもいつかすぎつらん、もはややめてかへり玉へ、まゝもあたゝかにして酒ももとめおきたり、いざかへり玉ヘ
東光院でいたのであらう。初夜しよやの鐘の音が、ゴーンと響いて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ひじ初夜しよや精進さうじみ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
初夜しよや過ぎゆきし
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
初夜しよやぎの今頃いまごろ如何いかなつ川縁かはべりでも人通ひとどほりはえてない。ひとくるまも、いづれ列席れつせきしたものばかりで、……前後あとさきくるまなかから、かれ引外ひきはづして、此處こゝはひつてたのである。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
田末たずゑわたる時雨の雨はかすかながら初夜しよや過ぎて出づる月のさやけさ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それ、自動車じどうしやたぜ、とをんなまじりで、道幅みちはゞせまい、しば/\縁臺えんだいつのだが、くるまめづらしいほどである。これから、相乘あひのり——とところを。……おゝ、銀河あまのかはえる——初夜しよやすぎた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)