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凶
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わる
ふりがな文庫
“
凶
(
わる
)” の例文
帰したものなら帰って来なくちゃならねえのに一向帰らねえのは、愈々只事じゃあるめえというんで、つい色々と
凶
(
わる
)
い方にも気が廻ったんです。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
すべてのものの結末は寂しい! たとへそれが善い事であれ、
凶
(
わる
)
い事であれ、最後には必ず溜息が伴はれるではないか?
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
と、自分の
卜
(
うらない
)
が的中しないことを今はしきりに
祷
(
いの
)
っていた。気のせいか、こよいに限って、
燈火
(
ともしび
)
の色も
凶
(
わる
)
い。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主僧凶夢を苦に病む 私の泊った
主僧
(
あるじ
)
は何かこの間から続けて
凶
(
わる
)
い夢を見たというので大いに恐れて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
凶
(
わる
)
いことは単独には来ない——邦夷の心に
湧
(
わ
)
いた
微
(
かす
)
かな宿命観は、今回の換え地出願も泡のように消えそうな気がした。
哀
(
かな
)
しみが彼の静かな表情を
歪
(
ゆが
)
めてしまった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
▼ もっと見る
「この駅の宿舎には昔から
凶
(
わる
)
いことがしばしばあるのですが、その妖怪の正体は今にわかりません」
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この解放治療場開設のため周囲を
地均
(
じなら
)
し致しまして以来、
斯様
(
かよう
)
に著しい衰弱の色を見せて参りましたのは、何かの
凶
(
わる
)
い前兆と申せば申されぬ事もないようであります。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お訊きするのですけれども、その事に就ては何も仰有らず、手紙が来ることさえ、私に
隠匿
(
かく
)
そうとなすっていらっしゃるのよ。何か
凶
(
わる
)
い事でも起ったのではないでしょうか
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
彼は、つぎつぎに襲って来る
凶
(
わる
)
い偶然に、ほとんど泣きたくなった。だがどうすることも出来なかった。無理に一枝を追ったりなんかすると、すぐ京子に告口されることは明かだった。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それはほんの
刹那
(
せつな
)
の
間
(
あいだ
)
で、やがて向うの
庇
(
ひさし
)
の下に動いているものを見つけますと、私は急に飛び上って、
凶
(
わる
)
い夢からでも覚めたように意味のない大声を挙げながら、いきなりそこへ駈けつけました。
疑惑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
燁代さんは色青ざめて、それが何かしら
凶
(
わる
)
いしらせのように感じた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
あらゆるいけない
凶
(
わる
)
いことも、側からどんどん
吉
(
よ
)
いことに変えられていくのだろう、まるで
手品師
(
てづまし
)
が真っ白なまま函へ入れた
糝粉
(
しんこ
)
細工の
蓋
(
ふた
)
とればたちまち紅美しき桃の花一輪とは変っているように。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
和作は
凶
(
わる
)
い予感を受けたやうに、その声のする方へ振り返つた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
の作者水守亀之助氏「死人の欲望」の作者片岡鉄兵氏「山岡老人の犯罪」の作者岡田三郎氏「家常茶飯」の作者佐藤春夫氏「
凶
(
わる
)
い日」の作者戸川貞雄氏「ラジオの怪」の作者伊藤松雄氏「阿片と恋」の作者橋爪健氏「台北の夜」の作者広津和郎氏「夢魔」の作者長田幹彦氏
探偵文壇鳥瞰
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何となく、火色の
凶
(
わる
)
い
短檠
(
たんけい
)
の灯を見つめて、
陰々滅々
(
いんいんめつめつ
)
と
谺
(
こだま
)
する犬の声をかぞえるように聴き耳をたてていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜならば葬式を出すにも日の
吉
(
よ
)
い
凶
(
わる
)
いがあって、
其日
(
それ
)
をよく見定めてから、どういう方法の葬式にしようか、この屍体はどう始末をつければよいかということをラマに尋ねなければならん。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
いろいろ
凶
(
わる
)
い
兆
(
しらせ
)
がございました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ウウム、なんてえ
凶
(
わる
)
い晩だろう。おまけに、まだこっちにも大変なことが起こっていますぜ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですから自然、馬相について教わっていましたが、四本の脚が、みな白いのを四白といい、これも凶馬とされていますが、額に白点のある
的盧
(
てきろ
)
は、もっと
凶
(
わる
)
いといわれています。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どん底のおら達に、縁起が
吉
(
い
)
いも
凶
(
わる
)
いもあるもんか。これより下はありやしない」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元日なのに、きょうはなんという
凶
(
わる
)
い日か、彼女の花園には蛇ばかりが出た。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だからよ、その夢が
凶
(
わる
)
く、裏切られてきやしないかと心配しているのだ」
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だから、そのほうにはなんの取り越し苦労もしていないが、お通の来ていないことは、彼を
落胆
(
がっかり
)
させた程度でなく、なにか、お通の身の上に、
凶
(
わる
)
い事が起っているような胸騒ぎを駆りたててくる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そういう
凶
(
わる
)
い行末が見えていても、安太郎さんは私を……」
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きょうは政子の
嫁
(
とつ
)
ぐ日であった。
凶
(
わる
)
い日を選ぶわけはない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「えっ。じゃ、何か
凶
(
わる
)
いところへ踏み込んで来たのかな?」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どういう悪日と
凶
(
わる
)
い方位をたどってきたものだろうか。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、どう
凶
(
わる
)
いのか。その夢は」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“凶”の意味
《名詞》
(キョウ)災難。凶事。
(キョウ)おみくじなどで悪い託宣。
(出典:Wiktionary)
凶
常用漢字
中学
部首:⼐
4画
“凶”を含む語句
吉凶
凶兆
豊凶
凶事
凶作
凶報
凶器
凶相
凶歉
凶神
凶徴
大凶
凶暴
凶悪
凶変
大凶事
大凶時
凶状
凶賊
吉凶禍福
...