冬瓜とうがん)” の例文
アコ長のほうは、ごぞんじの通り、大一番おおいちばん長面ながづらの馬が長成ながなり冬瓜とうがんをくわえたような、眼の下一尺二寸もあろうという不思議な面相。
と、金博士はちょっと不意打ふいうちのおどろきを示した。しかし大統領は割合わりあいにおちついていた。そして冬瓜とうがんのような顔をしかめていった。
今四十枚ばかり見た所へ赤い冬瓜とうがんのようなものが台所の方から来て驚きました。それに長い手紙があるのでいよいよ驚ろきました。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
肥満女ふとっちょの女中などは、失礼無躾ぶしつけ構っちゃいられん。膚脱はだぬぎの大汗を掻いて冬瓜とうがんの膝で乗上っても、その胸の悪玉に突離つッぱなされて、素転すてんころりと倒れる。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ウ、フ、お目にかけ度い位、冬瓜とうがんを水ぶくれにして、このしろの袷を着せて、オホンとやらかすと、丁度あんな工合」
玉江嬢「私どもでは冬瓜とうがんが沢山出来て毎年始末に困りますが何とかしようはありますまいか」お登和嬢
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
玉菜たまな赤茄子あかなすねぎ玉葱たまねぎ大根だいこんかぶ人参にんじん牛蒡ごぼう南瓜かぼちゃ冬瓜とうがん胡瓜きゅうり馬鈴薯ばれいしょ蓮根れんこん慈姑くわい生姜しょうが、三つ葉——あらゆる野菜に蔽われている。蔽われている? 蔽わ——そうではない。
不思議な島 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あの顔を見ると、どうしたって、そんな不人情な事をしそうには思えないんだが——うつくしい人が不人情で、冬瓜とうがん水膨みずぶくれのような古賀さんが善良な君子なのだから、油断が出来ない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此節少々快方候、しかし他出致しかね候まゝ御無礼つかまつり候。此えり麁物そぶつながら呈上(○蘭の絵ハ御苑ニアル分ヲ写させ申候)。御笑留ごしょうりゅう被下度、外粗大なる冬瓜とうがん一つ御目にかけ申候。まづ過日之御礼迄如此かくのごとく候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
荒木氏は冬瓜とうがんのやうな大きな頭へ手をやつた。
「待て、冬瓜とうがん侍ちょっと待て」
入婿十万両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
長生ながなり冬瓜とうがんのようなボッテリとした馬鹿べらぼうな大きな顎のさきを撫でながら、ははあ、とかなんとか、のんびりと合槌をうっている。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「ああ帆村はん。これ、なんちゅうことや。わしはもう、あんまり愕いたもんやで、頭脳が冬瓜とうがんのように、ぼけてしもたがな」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
末成うらな冬瓜とうがん見たいな餓鬼がきでも、生みの母親に取つちや掛け替へはない筈で——、暇で/\仕樣がない身體なら、ちよいと覗いてやるのも功徳くどくぢやありませんか
やがてさら/\とわた山風やまかぜや、つきかげうりをどる。踊子をどりこ何々なに/\ぞ。南瓜たうなす冬瓜とうがん青瓢あをふくべ白瓜しろうり淺瓜あさうり眞桑瓜まくはうり
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水瓜すいか冬瓜とうがんせり独活うどの如きは利水性にて小水を促す。妊婦の初期には禁ずべし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
隣に住んでゐる浪人者の大垣村右衞門、こいつは五十を越した冬瓜とうがんのやうな男だが、不動堂の講中の世話人で不斷から叶屋重三郎を佛敵だと言ひふらしてゐる。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
この方、あの年増めを見送って、入交いりかわって来るは若いのか、と前髪の正面でも見ようと思えば、霜げた冬瓜とうがん草鞋わらじ打着ぶちつけた、という異体なつらを、ふすまの影からはすに出して
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ランドリュの亡年ぼうねん——ヴェルサイユの聖ピエール監獄の門前でギロチンにかけられたときランドリュは五十五歳で、丸く禿げた頭の地膚じはだしなびた冬瓜とうがんのような色をしていた。
青髯二百八十三人の妻 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
エートこの一週間は南瓜とうなす冬瓜とうがんばかり食べていたがあんなものは脂肪がどういう割だろうと書物を出して分析表を調べると、オヤ南瓜は脂肪が百分中の一分三厘、冬瓜は零弐厘と出ている。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
隣に住んでいる浪人者の大垣村右衛門、こいつは五十を越した冬瓜とうがんのような男だが、不動堂の講中の世話人で、不断から叶屋重三郎を仏敵だと言いふらしている。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
出来そこないの冬瓜とうがんのような方図ほうずもない顎をぶらさげ、白痴こけか薄のろかと思われるような間のびのした顔をしているくせに、感がいいというのか、どんな入りくんだアヤでも
冬瓜とうがん 九七・四二 〇・二六 〇・〇二 一・七二 〇・三五 〇・二三
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
次は番頭の和助、四十男ですが、日蔭の冬瓜とうがんのように青白くて、せいぜい三十五六にしか見えません。
また妊娠の始めには芹、独活うど冬瓜とうがん、西瓜等水気の増すものまたは芋、豆、大根、蕪根の如き瓦斯を醸すものおよび塩漬の肉類、乾物、脂肪多き食物類は消化良しからざるものなれば食用すべからず。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
冬瓜とうがんのお化け、顎十郎こと仙波阿古十郎。
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「馬鹿野郎、夕顔で気に入らなきゃ、冬瓜とうがんなり糸瓜へちまなり、勝手なように融通しておきやがれ」
冬瓜とうがんとソボロ 秋 第二百十一 野菜の煮物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
医者へかつぎこまれた時、私の頭は冬瓜とうがんのようにれ上がり、その跡が、今度は逆にへこんでしまった。七十年後の現在でも、頭のてっぺんが、親指で押したほど窪んでいる。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
冬瓜とうがん胡麻酢ごまず 秋 第二百十一 野菜の煮物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あの冬瓜とうがん野郎の田之助が相手もあらうに浪人の娘お喜美に惚れて、死ぬの生きるのといふ騷ぎだ、——この春神明樣のお祭で見染めて、宇田川町まで後をけて行つた上、本郷から毎日通つて
冬瓜とうがん塩漬しおづけ 秋 第二百十一 野菜の煮物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あの冬瓜とうがん野郎の田之助が相手もあろうに浪人の娘お喜美に惚れて、死ぬの生きるのという騒ぎだ、——この春明神様のお祭で見染めて、宇田川町まで後をけて行った上、本郷から毎日通って