ども)” の例文
兼太郎は我慢をしていたが、ついには抱えの女どもにまで厄介者あつかいにされ出したのでとうとう一昨年の秋しょんぼりと沢の家を出た。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
せず用向の外は立入ことなければ當時の役人ども傳吉は行屆ぬ者と思ひしよりつひに憑司の方を贔屓になしけるが然とて傳吉に落度おちどもなく別にとがむべき筋もなければ其まゝになし置を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
全くわるくないね。間数まかずはと? ぼく書斎しよさいけん用の客に君の居間ゐま食堂しよくだうに四でふ半ぐらゐの子ども部屋べやが一つ、それでたく山だが、もう一つ分な部屋へやが二かいにでもあれば申分なしだね。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
やつぱりさうだ やあ 子どもが豆を買ひに来た おや、おぢさんが豆を三つぶこぼした
死にに行くという若いものどもの身の上についてはさしずめ如何いかなる処置を取ってよいのやら全く途方に暮れてしまった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
やがて台所だいどころかたづけものましたおくさんはつぎかしてある子どもやう子をちよつとてくると、またちやへはいつて※て、しやうちかくにきよせた電燈でんとうの下で針仕事はりしごとにとりかゝつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
僕もさうだ 子どもや犬やねこ科学者くわがくしやけるなんていまいましいなあ
こうして手前どもがお茶屋へ奉公いたしておりますのをどうやら好きこのんでみだらな事でもいたすように仰有いますが、まアお聞きなすって下さいまし。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手前どもの町内などでも名主なぬし家主いえぬしが今朝はもう五ツ頃から御奉行所へお伺いに出るような始末で御座います。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
同道致候道々みちみち、愚僧の様子何となくいつもとは変りをり候ものと見え、何か仔細しさいのある事ならむとしきり問掛といかけ、はては得念自身問はれもせぬに、その身の事ども打明け話し候を聞くに
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その辺の寺々よりかね木魚もくぎょの音しきりに聞え、街道筋とも覚しき処を、百姓ども高声に話しながら、野菜を積み候荷車をき行くさま、これにてようや二本榎にほんえのきより伊皿子辺いさらごへんへ来かゝり候事と
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その時は愚僧もいつか年四十を越し、檀家だんか中の評判も至極よろしく、近郷の百姓ども一同愚僧が事を名僧知識のやうに敬ひ尊び候やうに相なりをり申候。何事も知らぬが仏とは誠にこの事なるべく候。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)