トップ
>
似非
>
えせ
ふりがな文庫
“
似非
(
えせ
)” の例文
「いや、それはいずれまた聴くとして」と
慌
(
あわ
)
てて検事は、
似非
(
えせ
)
史家法水の
長広舌
(
ちょうこうぜつ
)
を遮ったが、依然半信半疑の
態
(
てい
)
で相手を
瞶
(
みつ
)
めている。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それを金助の説として聞かないで、その当時の
似非
(
えせ
)
文化者流の言葉として聞いて神尾が、冷笑悪罵となったのを、金公少々ムキになって
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
つまり恋愛小説を読むとか、
似非
(
えせ
)
風流に
耽
(
ふけ
)
るとか、女学生の
口真似
(
くちまね
)
をすれば我が理想を高潔神聖にするとかいう位なものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「そうだろうともそうだろうとも。美しいと思ったのは、すなわち恋した事だからね。そうでないという奴は
似非
(
えせ
)
道徳屋……」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつか、無一物などといったのは、絶無の
頭脳
(
あたま
)
を——真から空ッぽの頭脳を、さも何かありそうに見せかける坊主常習の
似非
(
えせ
)
のことばなのだ。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
わが
似非
(
えせ
)
道学者等は自由恋愛が婦人の胸中に喚び覚した小児に対する深い義務の観念を学ばなければならない。
結婚と恋愛
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
我は時後れてユーリオの世に生れ、
似非
(
えせ
)
虚僞
(
いつはり
)
の神々の昔、善きアウグストの
下
(
もと
)
にローマに住めり 七〇—七二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
はて、
彼処
(
あすこ
)
をさように魔所あつかい、おばけあつかいにされましてはじゃ、この
似非
(
えせ
)
坊主、
白蔵主
(
はくぞうす
)
ではなけれども、尻尾が出そうで、
擽
(
くすぐ
)
っとうてならんですわ。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
似非
(
えせ
)
学者、似非作家、似非インテリゲンツィアの恥知らずな戦争協力にたいして、声に出せない眼をきつく働かして、それに反撥し、それを非難していた人々も
誰のために:インテリゲンツィアと民主主義の課題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そういう
窟屋
(
いわや
)
に住んで居りながら金を沢山拵えることを考えて、己れは隠者という名義をもって財産を集めるところの手段にして居る
似非
(
えせ
)
坊主が沢山あるものですから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そういう人たちは保守主義者の中にもあれば、
似非
(
えせ
)
進歩主義者の中にもあるかと思います。
「女らしさ」とは何か
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
父の半狂亂に氣を揉み
乍
(
なが
)
らも、母の目論見の底を割り兼ねて、默つてしばらく樣子を見てゐるうちに、多の市は
似非
(
えせ
)
修驗者の道尊坊を頼んで來て、
大袈裟
(
おほげさ
)
な
祈祷
(
きたう
)
を始めました。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし
似非
(
えせ
)
の年上の女性が若き燕の男性に求めるような
猥
(
みだ
)
りがましいことは少しも無いので、やはり先生は神聖であって、先生の言うことがもっとものようにも葛岡には思えた。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これには儒教(孔子の説に非ず)の影響が多分に底流[※2]になっていることと思うが、英米の所謂ブルジョアジイの
似非
(
えせ
)
偽善的な紳士道徳の影響もかなり混っていることであろう。
錯覚した小宇宙
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
似非
(
えせ
)
小説家の人生を卑しみて己れの卑陋なる理想の中に縮少したる毒弊なり、恋愛
豈
(
あに
)
単純なる思慕ならんや、想世界と実世界との争戦より想世界の敗将をして立籠らしむる牙城となるは
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
しら
笑
(
わら
)
ひ、——
似非
(
えせ
)
方人
(
かたうど
)
や
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「あわれむべし大月玄蕃! 不憫や魔道に落ちて救われざる
似非
(
えせ
)
剣客、それ程までに致しても命が欲しいとはよくよくな奴」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小山君、君も知っている通り僕は平生風流亡国論を唱えて日本人の
似非
(
えせ
)
風流は亡国の
基
(
もとい
)
と主張するが玉子の話についてもいよいよその事を
想
(
おも
)
い起すね。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
芋を石にする
似非
(
えせ
)
大師、むか腹を立って、洗濯もの黒くなれと、
真黒
(
まっくろ
)
に
呪詛
(
のろ
)
って出た!……
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
父の半狂乱に気を揉みながらも、母の
目論見
(
もくろみ
)
の底を割り兼ねて、黙ってしばらく様子を見ているうちに、多の市は
似非
(
えせ
)
修験者の道尊坊を頼んで来て、
大袈裟
(
おおげさ
)
な
祈祷
(
きとう
)
を始めました。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何か趣向をしておいて、アッと言わせるということは、
似非
(
えせ
)
茶人や似非通人のよくやりたがることであります。神尾は人を招いた時は、いつでも何かこんなことをしたがるのでありました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
似非
(
えせ
)
愛国者の売国的意味をしんから知るには時間がかかる。
日記:27 一九四四年(昭和十九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「武蔵! ……
汝
(
わ
)
れは、
似非
(
えせ
)
善人じゃの。そのような甘い言葉に
騙
(
たぶら
)
かされて、怨みを解くようなわしではないぞ。……無駄なこと、耳うるさいわい」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
似非
(
えせ
)
風流は亡国の
基
(
もとい
)
、似非美文は子弟教育の害になるという。しかしそれは今ここで説明する場合でないが食卓に花を飾るのは食事の愉快を増さしむるためだ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「いや、聞えたってかまわん。あの
似非
(
えせ
)
君子が、起きるか起きないか、試しに、この家へ火をつけてみるんだ」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
第五十九
似非
(
えせ
)
風流
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ああ
黄蓋
(
こうがい
)
も人を知らずじゃ! こんな
似非
(
えせ
)
英雄に
渇仰
(
かつごう
)
して、とんでもないことをしてしまったものだ
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
由来、この武松の性分として、軍権をカサにきる
似非
(
えせ
)
軍人、なんでも腕ずく力ずくで非道を押ッ通そうとする
手輩
(
てあい
)
、そんな奴を見ると、ぐっと虫が
癇
(
かん
)
をおこしてきて
堪
(
たま
)
らなくなる
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それがしどもの思うには、孔明はいたずらに虚名を売り、実は内容のない
似非
(
えせ
)
学徒に相違なく、それ故、わが君に会うのをおそれ、とやかく、逃げのがれているものかと存じられます。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
心の狭い一部の
納言
(
なごん
)
や
沙門
(
しゃもん
)
たちが、その
後
(
あと
)
になって、青蓮院の僧正こそは、世をあざむく
似非
(
えせ
)
法師じゃ、なぜなれば、なるほど、松を
時雨
(
しぐれ
)
の歌は、秀逸にはちがいないが、恋はおろか
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「くそ坊主っ、
似非
(
えせ
)
坊主の沢庵。一言いうことがある。この下へ参れっ——」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すなわち、お
辺
(
へん
)
は武門から出家し、
卯木
(
うつぎ
)
どのは、女院の内の
栄花
(
えいが
)
めかした
似非
(
えせ
)
幸福から出家なされたものではあるまいかの。いうなれば、
弥陀
(
みだ
)
をたのむ
発心
(
ほっしん
)
も出家。恋の彼岸を本願とするも出家。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「道誉っ。いやさ、
似非
(
えせ
)
入道」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
似
常用漢字
小5
部首:⼈
7画
非
常用漢字
小5
部首:⾮
8画
“似非”で始まる語句
似非者
似非物
似非風流
似非聖
似非仁義
似非君子
似非法師
似非経文
似非聖者
似非門跡