今樣いまやう)” の例文
新字:今様
なかがらすの障子しようじのうちには今樣いまやう按察あぜち後室こうしつ珠數じゆずをつまぐつて、かぶりの若紫わかむらさき立出たちいづるやとおもはるゝ、その一ツかまへが大黒屋だいこくやりようなり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きんへいが雲に乘つて下りて來る繪や、また今樣いまやう無恰好ぶかつかうな軍帽をかぶつた兵隊が、軍旗を立てゝ煙の中をひ出してゐる繪や、本式に白馬を一頭だけゑがいたのや
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
古風の湯宿と今樣いまやうの旅館とが入り交つてゐる温泉の高い小さな村であるが、何となく人をゆつたりと沈着おちつかせてしまふやうなところが、實際山奧の湯村の氣分でもあらう。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一葉女史いちえふぢよしはおのれとおな園生そのふにありてはぎつゆにおほしたてられし下葉したはなりはぎ中島なかじまつねにいにしへぶりのしなたかきををしへさとしたまへれど性來せいらいのすきこゝろによのみゝちかくぞく今樣いまやう情態じやうたい
うもれ木:01 序 (旧字旧仮名) / 田辺竜子(著)
「ぢやア、あんな清水鳥しみずとりのやうなものが今樣いまやう美人ですか?」
綾子りんず羽ぶたへ今樣いまやう
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
派手はでなるはあけぼの振袖ふりそで緋無垢ひむくかさねて、かたなるははなまついろ、いつてもかぬは黒出くろでたちに鼈甲べつかうのさしもの今樣いまやうならばゑりあひだきんぐさりのちらつくべきなりし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)