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ひとはだ
ふりがな文庫
“
人膚
(
ひとはだ
)” の例文
衣摺
(
きぬず
)
れが、さらりとした時、湯どのできいた
人膚
(
ひとはだ
)
に
紛
(
まが
)
うとめきが
薫
(
かお
)
って、少し斜めに
居返
(
いがえ
)
ると、
煙草
(
たばこ
)
を含んだ。吸い口が白く、
艶々
(
つやつや
)
と
煙管
(
きせる
)
が黒い。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝日はかくて
濡縁
(
ぬれえん
)
の端に及び、
忽
(
たちま
)
ちのうちにその全面に射し込んで来て、幾年の風雨に
曝
(
さ
)
らされて朽ちかかった縁板も、やがて
人膚
(
ひとはだ
)
ぐらいの
温
(
ぬく
)
みを帯びるようになる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
恐怖
(
おそれ
)
と、
恥羞
(
はじ
)
に震う身は、
人膚
(
ひとはだ
)
の
温
(
あたた
)
かさ、唇の燃ゆるさえ、清く涼しい月の前の母君の有様に、
懐
(
なつか
)
しさが劣らずなって、振切りもせず、また
猶予
(
ためら
)
う。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
途端に
人膚
(
ひとはだ
)
の
気勢
(
けはい
)
がしたので、
咽喉
(
のど
)
を
噛
(
かま
)
れたらうと思つたが、
然
(
そ
)
うではなく、蝋燭が、
敷蒲団
(
しきぶとん
)
の端と端、お辻と並んで合せ目の、
畳
(
たたみ
)
の上に置いてあつた。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ばちゃん、……ちゃぶりと
微
(
かす
)
かに湯が動く。とまた得ならず
艶
(
えん
)
な、しかし冷たい、そして、におやかな、霧に
白粉
(
おしろい
)
を包んだような、
人膚
(
ひとはだ
)
の気がすッと肩に
絡
(
まつ
)
わって、
頸
(
うなじ
)
を
撫
(
な
)
でた。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
貴下
(
あなた
)
、このまあ
麗
(
うらら
)
かな、樹も、草も、血があれば
湧
(
わ
)
くんでしょう。
朱
(
しゅ
)
の色した日の光にほかほかと、土も
人膚
(
ひとはだ
)
のように
暖
(
あたたこ
)
うござんす。竹があっても暗くなく、花に陰もありません。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
活
(
い
)
けて
視
(
なが
)
めうと
思
(
おも
)
ふ
花
(
はな
)
を、
苞
(
つと
)
のまゝ
室
(
へや
)
に
寝
(
ね
)
かせて
置
(
お
)
いて、
待搆
(
まちかま
)
へた
償
(
つくな
)
ひの
彼
(
かれ
)
は
何
(
なん
)
ぢや!
聾
(
つんぼ
)
の、
唖
(
をうし
)
の、
明盲人
(
あきめくら
)
の、
鮫膚
(
さめはだ
)
で
腰
(
こし
)
の
立
(
た
)
たぬ、
針線
(
はりがね
)
のやうな
縮毛
(
ちゞれつけ
)
、
人膚
(
ひとはだ
)
の
留木
(
とめき
)
の
薫
(
かをり
)
の
代
(
かは
)
りに
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さ、さ、とお絹の
褄捌
(
つまさば
)
きが床を抜ける冷たい夜風に聞えるまで、
闃然
(
げきぜん
)
として、袖に褄に散る
人膚
(
ひとはだ
)
の花の香に、穴のような
真暗闇
(
まっくらやみ
)
から、いかめの鬼が出はしまいか——私は胸を
緊
(
し
)
めたのです。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人膚
(
ひとはだ
)
が
背後
(
うしろ
)
から皮を
透
(
とお
)
して透いて見えます位、急にも流れず、
淀
(
よど
)
みもしませず、
浪
(
なみ
)
の立つ、瀬というものもござりませぬから、色も、
蒼
(
あお
)
くも見えず、白くも見えず、緑の
淵
(
ふち
)
にもなりませず、一様に
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
膚
常用漢字
中学
部首:⾁
15画
“人”で始まる語句
人
人間
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