人毎ひとごと)” の例文
好み童女どうぢよまれなる能書のうしよなりと人々も稱譽もてはやしけり此お高一たい容貌みめかたち美麗うるはしくして十五六歳になりし頃はたぐひなき艷女たをやめなりと見る人毎ひとごとに心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
若主人の留守中、彼の手助けは若い作男であった。故人は其作代が甲斐々々しく骨身を惜まず働く事を人毎ひとごとめて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
されども人毎ひとごと業用げふようにさゝへて時をうしなふか、又は一夜の大雪にかの水源すゐげんふさぐ時は、水あぶれひくき所をたづねながる。
趙生はこう遇う人毎ひとごとに、王生の話を吹聴ふいちょうした。最後にその話が伝わったのは、銭塘せんとうの文人瞿祐くゆうである。瞿祐はすぐにこの話から、美しい渭塘奇遇記いとうきぐうきを書いた。……
奇遇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まゝならぬ世の習はしは、善きにつけ、惡しきにつけ、人毎ひとごとひとには測られぬうきはあるものぞかし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
馬爪ばづのさしぐしにあるひと本甲ほんかうほどにはうれしがりしものなれども、人毎ひとごとめそやして、これほどの容貌きりよううもとはあたら惜しいもの、ひとあらうならおそらく島原しまばらつての美人びじん
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若き時の過失あやまち人毎ひとごとまねかれず、懺悔ざんげめきたる述懷は瀧口かへつて迷惑に存じ候ぞや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たえくるわへ足向もせず辛抱しんばうして居たりし程に見聞人毎ひとごとに久八の忠義により伊勢五の養子も人に成たりとほめければ久八もかげながらよろこびつゝおのれが今の姿すがたも打忘れてぞ居たりける然るに丁字屋の小夜衣は伯父をぢ長庵が惡計あくけいに罹りて戀しき人の憂目うきめに逢し事よりして愛想あいさう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)