不淨ふじやう)” の例文
新字:不浄
拷問がうもん牢問らうとひは、牢番與力配下の不淨ふじやう役人の仕事で、手前共手先御用聞の役目では御座いません、恐れ乍らその儀は御容赦を願ひます」
かのうづたかめるくちなはしかばねも、彼等かれらまさらむとするにさいしては、あな穿うがちてこと/″\うづむるなり。さても清風せいふうきて不淨ふじやうはらへば、山野さんや一點いつてん妖氛えうふんをもとゞめず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それをおみつは十二やそこらで、や月々の不淨ふじやうを見るさうなと言ひ出したものがあつて、さう言へばさうらしいなア、なぞと合槌あひづちを打つものも現はれ、けがれた娘を神前に出したたゝりは恐ろしい
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
惱みてわれはる沙門『不淨ふじやう
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
當將軍家の御落胤らくいんにて既に大坂城代より江戸表へも上申に相成御左右ごさう次第しだい江戸へ御下向ごげかう御積おんつもり其間に京都御遊覽いうらんの爲め上京じやうきやう此段町奉行にも心得有べき筈不屆至極ふとゞきしごくの使者今一言申さばと威丈高ゐたけだか遣込やりこめ其上汝知らずや町奉行所はとがざい人の出入する不淨ふじやうの場所なり左樣なるけがれし場所へ御成を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この六疊はいやしくも佐多田無道軒の城廓じやうくわくだ、中が見たかつたら、寺社の御係りを呼んで來い。町方の不淨ふじやう役人などが入ると、唯は置かないぞツ
立て奧へ入しがしばらありて出來り兩人にむかひ御口上のおもむき上へうかゞひしに御意ぎよいには町奉行の役宅は非人ひにん科人とがにんの出入致しけがらはしき場所のよし左樣の不淨ふじやうなる屋敷へは予は參る身ならず用事ようじあらば日向守殿に此方へ來られよとの御意ぎよいなれば此段このだん日向守殿へ御達おんたつし下されと言捨いひすてて奧へぞ入たり兩人は手持無沙汰てもちぶさたよんどころなく立歸たちかへり右の次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無理に潜り込んで調べると、半日も經たないうちに見付かり、町方の御用聞などは不淨ふじやうだからと、繩を打つてこの有樣で
以て申上奉あげたてまつり候明日たつ上刻じやうこく天一坊樣大岡役宅へ入せられ候樣申上奉つるとの口上こうじやうなり山内聞いて町奉行宅は罪人ざいにん科人とがにんの出入する穢の場所なり左樣な不淨ふじやうの處へ天一坊樣にはいらせられまじ假令御入成るとの御意ありとも此の山内に於て屹度きつと御止め申なり此だん立歸たちかへり大岡殿へ申されよといふにぞ平石は案に相違しけれど此儘このまゝにては
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「馬鹿奴ツ、何の理由わけがあつて縛る。それを聞かないうちは、不淨ふじやう役人の儘になる俺ではない、命の要らぬ奴は來い」
判つた、平次、私も何うも腑に落ちない事があつたよ。利助は萬三郎に相違ないと言ふが、鶴吉の女中に聞くと、萬三郎は不淨ふじやうへ一度立つたが、その時女中が供を
有合せの庭下駄を突つかけて、泉石の數寄すきこらした庭に降りて行くと、突き當りは深い植込みがあつて、それをグルリと拔けると、不淨ふじやう門が嚴重に黒板べいに切つてあります。
町方の御用をうけたまはるもの。明神下の平次親分ところの八五郎と名乘ると、——馬鹿野郎、旗本屋敷へ不淨ふじやうな十手などを持込む奴は、叩き斬つても仔細しさいはないが、命だけは助けてやる。
細い道をへだてて、尾張樣の御下屋敷。此邊が成程、尾張樣の不淨ふじやう門に當ることでせう。