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わんきよく
其の
日も
埃が
天を
焦して
立つた。
其の
埃は
黄褐色で
霧の
如く
地上の
凡てを
掩ひ
且つ
包んだ。
雜木林は一
齊に
斜に
傾かうとして
梢は
彎曲を
描いた。
「もうそつちへ
行くわ、
靴だから
足が
早い。」「
心得た。」
下のさか
道の
曲れるを、
二階から
突切るのは
河川の
彎曲を
直角に、
港で
船を
扼するが
如し、
諸葛孔明を
知らないか
初秋の
洪水以來河の
中央には
大きな
洲が
堆積されたので、
船は
其の
周圍を
偃うて
遠く
彎曲を
描かねば
成らぬ。
消防の
群集は
殆んど
皮膚を
燒かれるやうな
熱さを
怖れて
段々遠ざかつた。
小さな
喞筒は
其熾な
焔の
前に
只一
條の
細い
短い
彎曲した
白い
線を
描くのみで
何の
功果も
見えなかつた。