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たうさい
驚破秋草に、あやかしのついて
候ぞ、と
身構したるほどこそあれ、
安下宿の
娘と
書生として、
出來合らしき
夫婦の
來りしが、
當歳ばかりの
嬰兒を、
男が、
小手のやうに
白シヤツを
鎧へる
手に
仕合とは何事ぞや
抑も
當歳にて
産の母に
死別れ
七歳の年には父にさへ
死れ師匠の
惠に
養育せられ漸く成長はしたるなり
斯墓なき身を仕合とは又何故にお前は其樣に
歎き給ふぞと
尋けるお三婆は
落る涙を
よくも
斯る
絶島にかく
迄整然たる
凖備の
出來た
事よと
怪しまるゝばかりで、これ
等の
諸機械諸材料は、すべて二
年以前に、
櫻木大佐が
大帆船浪の
江丸に
搭載して、
此島に
運搬し
來つたもので
二
本の
煙筒に四
本檣の
頗る
巨大な
船である、
此度支那及び
日本の
各港へ
向つての
航海には、
夥しき
鐵材と、
黄金眞珠等少なからざる
貴重品を
搭載して
居る
相で、
其船脚も
餘程深く
沈んで
見えた。