-
トップ
>
-
うるはし
好み
童女に
稀なる
能書なりと人々も
稱譽しけり此お高一
體容貌美麗くして十五六歳に
成し頃は
類なき
艷女なりと見る
人毎に心を
劔を
杖に。
松陰の。
巖撐へて。
吐息つく。
時哉見ゆる。
若武者は。
是は
抑軍の。
使かや。
見れば
衣の。
美麗さ。
新郎とかも。
訝またる。
其鬚髯の。
新剃は。
秋田を刈れる。
刈稻の。
齊へる
樣に。
然程に新吉原松葉屋にては彼のお高を
抱へ樣子を
見に書は
廣澤を
學び
琴は
生田流揷花は遠州流茶事より歌
俳諧に至るまで是を知らずと云ふ事なく
殊に
容貌美麗く眼に千金の色を
月明瞭ならんとすれば
浮雲之を
覆ひ花
美麗からんとすれば風雨之を
正にこれ、
垠も知らぬ失恋の
沙漠は、
濛々たる眼前に、
麗き一望のミレエジは清絶の光を放ちて、
甚だ
饒に、甚だ
明かに浮びたりと謂はざらん
哉。
待居たり或日將軍家には
御庭へ成せられ
何氣なく
植木など
御覽遊ばし
御機嫌の
麗く見ゆれば近江守は
御小姓衆へ
目配せし其座を
退ぞけ獨り
御側へ
進寄聲を
潜て大坂より
早打の次第を
その人は
齢三十六七と見えて、
形癯せたりとにはあらねど、寒樹の夕空に
倚りて孤なる
風情、
独り負ふ
気無く
麗くも富める
髭髯は、下には
乳の
辺まで
毿々と垂れて
故に彼の恋は青年を楽む
一場の風流の
麗き夢に似たる
類ならで、質はその
文に勝てるものなりけり。