“黒漆:こくしつ” の例文
“黒漆:こくしつ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花3
吉川英治2
岡本綺堂1
幸田露伴1
有島武郎1
“黒漆:こくしつ”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 芸術・美術 > 芸術史 美術史20.0%
哲学 > 東洋思想 > 日本思想0.7%
文学 > 日本文学 > 戯曲0.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
風の音、雨の音、川鳴の音、樹木の音、ただもう天地はザーッと、黒漆こくしつのように黒い闇の中に音を立てているばかりだ。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
床も、承塵なげしも、柱はもとより、たたずめるものの踏むところは、黒漆こくしつの落ちた黄金きんである。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
憮然ぶぜんとして、張飛は、黒漆こくしつの髯を秋かぜに吹かせていたが、何か、思い出したように、突然、いている剣帯を解いて、
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云うのであった。それはまぎれもない黒漆こくしつの長髯があるので、その日の試合を見た者なら一目で知れる鐘巻自斎に違いなかった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄柵扉の後方に数層の石段があって、その奥には、金庫扉きんことらしい黒漆こくしつがキラキラ光っている。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何かの黒漆こくしつな虫、とくに何ものでない異常の光、その冷たそうに素早く輝くものが、いつもかれに一滴の得体の知れないものを注いでいた。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ギラリと輝く明眸、茶筌ちゃせんい上げた逞しい赭顔しゃがんが現われる。左ので、黒漆こくしつの髯を軽く抑えて、ズイと一足前へ出た——
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これらの相好が黒漆こくしつの地に浮かんだほのかな金色に輝いているところを見ると、われわれは否応なしに感じさせられる、確かにこれは観音の顔であって、人の顔ではない。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
黒漆こくしつひげの中で、牡丹ぼたんのような口を開いて笑った。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きわ立って赤くいろどられた口びる、黒いほのおを上げて燃えるようなひとみ、後ろにさばいて束ねられた黒漆こくしつの髪、大きなスペインふう玳瑁たいまいの飾りぐし
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
われわれが今度乗せられた新しい二艘の船も、むかしの雛型に寸分たがわずに造らせたものだそうで、ただ出来しゅったいを急いだ為に船べりに黒漆こくしつを施すの暇がなかったと云う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さうして調度掛を呼寄せて、持たせて来た壺胡籙つぼやなぐひを背に負ふと、やはり、その手から、黒漆こくしつ真弓まゆみをうけ取つて、それを鞍上に横へながら、先に立つて、馬を進めた。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
顔の輪郭と、やや額ぎわを狭くするまでに厚くえそろった黒漆こくしつの髪とはやみの中に溶けこむようにぼかされて、前からのみ来る光線のために鼻筋は、ギリシャ人のそれに見るような
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
雪なすうすもの、水色の地にくれないほのおを染めたる襲衣したがさね黒漆こくしつ銀泥ぎんでいうろこの帯、下締したじめなし、もすそをすらりと、黒髪長く、丈に余る。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
生きたるは黒漆こくしつの瞳のみ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
けれども、その闇であることは、前に遊魂のさまよい出でた時の光景と同じことでありましたが、黒漆こくしつ崑崙夜裡こんろんやりに走るということの如く、宇治山田の米友が外へ飛び出すと、外の闇が早くもこの小男を呑んで、行方のほどは全くわからなくなりました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時、金石の海から、河北潟へ、瞬く間に立蔽たちおおう、黒漆こくしつ屏風びょうぶ一万枚、電光いなびかりを開いて、風に流す竜巻たつまき馳掛はせかけた、その余波なごりが、松並木へも、大粒な雨ともろともに、ばらばらと、ふな沙魚はぜなどを降らせました。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)