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むぎわらぼう
ふりがな文庫
“
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)” の例文
旧字:
麥稈帽
白地の
浴衣
(
ゆかた
)
に
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を被った裔一は、
午
(
ひる
)
過の日のかっかっと照っている、かなめ垣の道に黒い、短い影を落しながら、遠ざかって行く。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
……と思うと、もう
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を頭に乗っけて、夕日のカンカン照る往来に出て行った。私はその
眩
(
まぶ
)
しいうしろ姿を見送りながら
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
幽邃
(
ゆうすい
)
な左岸の林に釣人がいる。一人、二人、三人、四人。
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
で半シャツ、かがんで、細い
棹
(
さお
)
の糸をおなじくしんかんと水に垂らしている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
丁度お天気の
好
(
よ
)
い日だつたので、キチン氏は薄汚い園芸服に破けた
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
被
(
かぶ
)
つて、せつせと玄関前の花壇で働いてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
近頃は、東京でも地方でも、まだ時季が早いのに、慌てもののせいか、それとも値段が安いためか、道中の晴の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
また
網
(
あみ
)
シャツやゆるい青の半ずぼんをはいたり、青白い大きな
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
をかぶったりして歩いているのを見ていくのは、ほんとうにいい
気持
(
きもち
)
でした。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
労働者のかぶるような大きな
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
をかぶった父が、片手に
鋏
(
はさみ
)
をもちながら、そこいらの木の手入れをしていた。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
縞
(
しま
)
セルの背広に、
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
、
藤蔓
(
ふじづる
)
の
杖
(
ステッキ
)
をついて、やや前のめりにだらだらと坂を下りて行く。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
の書生三人、
庇
(
ひさし
)
髪の女学生二人、
隣室
(
となりま
)
に遊びに来たが、次ぎの汽車で直ぐ帰って往った。石狩川の音が
颯々
(
さあさあ
)
と響く。川向うの山腹の停車場で、
鎚音
(
つちおと
)
高く石を割って居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その男は日に
焦
(
や
)
けた顔にチョッピリと黒い
髭
(
ひげ
)
を生やして、薄鼠色のインバネスを着ていたが、新しい
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
に冠り直しながら、昂作の顔を覗き込んだ。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私はその子の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を軽くたたいた。かの小さな美しい城の
白光
(
はっこう
)
が
果
(
はた
)
していつまでこのおさない
童子
(
どうし
)
の記憶に
明
(
あか
)
り
得
(
う
)
るであろうか。そしてあの蒼空が、雲の輝きが。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
鷲掴
(
わしづか
)
みに
持添
(
もちそ
)
へて、
膝
(
ひざ
)
までの
靴足袋
(
くつたび
)
に、
革紐
(
かはひも
)
を
堅
(
かた
)
くかゞつて、
赤靴
(
あかぐつ
)
で、
少々
(
せう/\
)
抜衣紋
(
ぬきえもん
)
に
背筋
(
せすぢ
)
を
膨
(
ふく
)
らまして——
別
(
わか
)
れとなればお
互
(
たがひ
)
に、
峠
(
たふげ
)
の
岐路
(
えだみち
)
に
悄乎
(
しよんぼり
)
と
立
(
た
)
つたのには——
汽車
(
きしや
)
から
溢
(
こぼ
)
れて
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その上から草原一面にかけて、真赤に
錆
(
さ
)
びた
錻力
(
ぶりき
)
の切り屑、古新聞、古バケツ、ゴム靴、古タイヤ、
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
なぞが、不規則な
更紗
(
さらさ
)
模様を描いて散らばっていた。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
独逸
(
ドイツ
)
製のケースにはいった五、六種の薬剤、爽かな
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
、ソフトカラアにハンカチーフに絹の靴下。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
白髪の田螺は、
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
の田螺に、ぼつりと分れる。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこで
夕暗
(
ゆうやみ
)
に紛れて本町一丁目の魚市場の蔭に舟を寄せると、吾輩の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
眉深
(
まぶか
)
に冠せた友吉の屍体を、西洋手拭で頬冠りした吾輩の背中に帯で
括
(
くく
)
り付けた。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私の背後からは
円
(
まる
)
い
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
に金と黒とのリボンをひらひらさして、
白茶
(
しろちゃ
)
の背広に濃い花色のネクタイを結んだ、やっと五歳と四ヶ月の幼年紳士がとても
潔
(
いさぎ
)
よく口をへの字に引き
緊
(
し
)
めて
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
と、冬の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
被
(
かぶ
)
った、若いのが声を掛けた。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
派手な
格子縞
(
こうしじま
)
の浴衣に
兵児帯
(
へこおび
)
を捲きつけて、
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
を
阿弥陀
(
あみだ
)
にしながら、細いステッキを振り振りチョコチョコと奥さんの尻を
逐
(
お
)
うて行くところは、如何にも好人物らしかった。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、冬の
麦稈帽
(
むぎわらぼう
)
が出ようとする。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
麦
常用漢字
小2
部首:⿆
7画
稈
漢検1級
部首:⽲
12画
帽
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
“麦稈帽”で始まる語句
麦稈帽子