騒動さわぎ)” の例文
旧字:騷動
ッて渋団扇であおいだのは、どういうものか、余程よっぽどトッチたようだったと、見ていたものがいうんでして、見物わッとなる騒動さわぎ
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところで大津法学士は何でも至急に結婚して帰京の途中を新婚旅行ということにしたいと申出たので大津家は無論黒田家の騒動さわぎ尋常ひととおりでない。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
裏の空地で多勢の人足が荷を動かす掛声、地響、荷車のきしり。倉庫へ運び込む一騒動さわぎ、帳簿との引合せなどで、店員は大抵表や裏に出払っている。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼は職掌柄、平生へいぜいからお杉ばばあついては注意のまなこを配っている処へ、あたかもこの騒動さわぎを見付けたのであるから、容赦は無い。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「重右衛門がこんな騒動さわぎ打始ぶつぱじめようとは夢にも思ひ懸けなかつたゞ。あれの幼い頃はおたげへにまだ記憶おぼえて居るだが、そんなに悪い餓鬼がきでも無かつたゞが……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
騒動さわぎに気を取られて、文三が覚えず立止りて後方うしろを振向く途端に、バタバタと跫音あしおとがして、避ける間もなく誰だかトンと文三に衝当つきあたッた。狼狽あわてた声でお政の声で
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
姉さん達も太郎太郎ってあたかも太郎の歳の市が始ったような騒動さわぎを入れる。殊にお花姉さんは身に覚えがあるから親切なもので、上等のビスケットを乃公の枕元へ持って来てくれた。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それに貴僧あなた騒動さわぎ起居たちいに、一番気がかりなのは洋燈ランプですから、宰八爺さんにそう云って、こうやって行燈あんどうに取替えました。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
独語ひとりごとのように云って、お杉は矗然すっくあがったかと見るうちに、左右の人々を一々め廻しながら、彼女かれはふらふらと歩き出した。加之しかも今の騒動さわぎは忘れたように、諷然ひょうぜんと表へ出て行った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あの重右衝門が居るばかりで、この村始まつて無いほどの今度の騒動さわぎ
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
水を打懸ぶっかけるぞ。「くらい附くぞ。「、痛、ほんとにくいついたな。この狂女きちがいめ、と振払う、むしゃぶりつくを突飛ばす。がたぴしという物音は皿鉢飛んだ騒動さわぎなり。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ほんとうに過日このあいだ騒動さわぎは大変だったわねえ。」と、若い女が相槌あいづちを打った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一体、不断は千本格子を境にして、やけな奥女中の花見ぐらい陽気な処へ、巡査と見ると騒動さわぎえらい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本人ジャパニイスの馬鹿が、だまされた口惜くやしさに貴方を殺すという騒動さわぎです。はッはッ馬鹿な奴等だ。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あら貴下あなた、よくってよ。」などとやっていたまいし折柄騒動さわぎのはじまりたるなり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と二人は一所に挨拶をして、上段の間を出てきまする、親仁おやじ両提りょうさげ莨入たばこいれをぶら提げながら、克明に禿頭はげあたまをちゃんと据えて、てくてくと敷居を越えて、廊下へ出逢頭であいがしら、わッと云う騒動さわぎ
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さあ、浅草へくと、雷門が、鳴出したほどなその騒動さわぎ
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「汝も聞いたろう、あの長谷の草刈騒動さわぎを。」
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)