おあし)” の例文
旧字:
おれ酒屋さかや小僧こぞうなんかになるのはいやだからうちかえってきた。おあしがちっともないから鉄道線路てつどうせんろあるいてきたよ。」
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
恭「おいらはあの草団子を喰いてえと思って叔母さんにおあしを貰ったからかいに来たら、日が暮れて夜はねえッてえから塩煎餅買って、先刻さっきから喰いながら此処に立ってたのよ」
内海うちうみの青畳、座敷へ入ったもおんなじじゃ、と心が緩むと、嘉吉が、酒代を渡してくれ、勝負が済むまで内金を受取ろう、と櫓を離した手におあしを握ると、懐へでも入れることか、片手に
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おそろしい、をとこつてほねかくす、とむらのものがなぶつたつけの……真個ほん孤屋ひとつやおにつて、狸婆たぬきばゞあが、もと色仕掛いろじかけでわし強請ゆすつて、いまではおあしにするでがすが、旦那だんななにはしつたか
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四海波静かにて、波も動かぬ時津風、枝を鳴らさぬ御代みよなれや、と勿体ない、祝言の小謡こうたいを、聞噛ききかじりにうたう下から、勝負!とそれ、おあし取遣とりやり。板子の下が地獄なら、上も修羅道しゅらどうでござります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それで、孤家ひとつやへ来さっしゃる山路やまみち富山とやま反魂丹売はんごんたんうりわしったというではないか、それみさっせい、あの助平野郎すけべいやろう、とうに馬になって、それ馬市でおあしになって、おあしが、そうらこの鯉に化けた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芸人なら芸人らしく芸をしておあしをお取り、とそうお言い。出来ないなら出来ないと言って乞食こじきをおし。なぜまた自分の芸が出来ないほど酒を呑んだ、と言っており。いけ洒亜々々しゃあしゃあ失礼じゃないか。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それ馬市うまいちおあしになつて、おあしが、そうらこひけた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「たかいおあしで買わっせえ。」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)