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這
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はい
ふりがな文庫
“
這
(
はい
)” の例文
殆ど気を失った夫人の身体を大樹の蔭の草の上に寝かせて置いて、堤に引返すと、彼は川の所まで
這
(
はい
)
おりて、汚い水をすくって飲んだ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そんなときに、ずっと向うの、蔵と蔵との間の低い屋根に、小さな小僧が
這
(
はい
)
出して来て、重そうな布団をひっぱり出して干すのをよく見た。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
千載
茲許
(
ここもと
)
に寄せては返す
女浪
(
めなみ
)
男浪
(
おなみ
)
は、例の如く渚を
這
(
はい
)
上る浪頭の彼方に、唯
形
(
かた
)
ばかりなる一軒
立
(
だち
)
の
苫屋
(
とまや
)
あり。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
やがて
仄暗
(
ほのぐら
)
い夜の色が、
縹渺
(
ひょうびょう
)
とした水のうえに
這
(
はい
)
ひろがって来た。そしてそこを離れる頃には、気分の
落著
(
おちつ
)
いて来たお島は、腰の方にまた
劇
(
はげ
)
しい
疼痛
(
とうつう
)
を感じた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
とうとう、彼等はお蝶さんの家に
這
(
はい
)
りこんで来て、代る代る、お蝶さんに暴行を加え、後にはお蝶さんの家を根城として、お蝶さんを彼等の
妾
(
めかけ
)
のようにしてしまいました。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
或晩このトラが、
炬燵
(
こたつ
)
へ
這
(
はい
)
って来て如何にも元気がない、やっと炬燵の上へ這い上ったところを見るとぺしゃんこになって、一枚と云いたいほど平べったくなってしまって居る。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
娘は市中へは
這
(
はい
)
らずに、寺院の横から東へ
外
(
そ
)
れ、林をぬけると小丘へ登り、更に小丘を下りますと小広い河の岸へ出て、それから河岸を上流の方へ、ずんずん歩いて行くのでした。
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
のたりと
蚯蚓
(
みみず
)
が
雨乞
(
あまごい
)
に出そうな
汐筋
(
しおすじ
)
の窪地を、列を造って船虫が
這
(
はい
)
まわる……その上を、羽虫の
大群
(
おおむれ
)
が、随所に固って
濛々
(
もうもう
)
と、舞っているのが炎天に火薬の煙のように見えました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少し待てば
歇
(
や
)
みさうである。
二人
(
ふたり
)
は大きな杉の
下
(
した
)
に
這
(
はい
)
つた。雨を
防
(
ふせ
)
ぐには都合の
好
(
よ
)
くない
樹
(
き
)
である。けれども
二人
(
ふたり
)
とも
動
(
うご
)
かない。
濡
(
ぬ
)
れても立つてゐる。
二人
(
ふたり
)
共
寒
(
さむ
)
くなつた。女が「小川さん」と云ふ。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供
這
(
はい
)
起きて
爺々
(
ちゃん
)
菓子の代給えという。十二三文を与うれば、これも外の方へ走り
出
(
い
)
づ。
然
(
しか
)
してなお残る銭百文または二百文もあらん。酒の代にや
為
(
な
)
しけん、積みて風雨の日の心
充
(
あて
)
にや貯うるならん。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その晩は月は何処の
森
(
もり
)
の
端
(
は
)
にも見えなかった。深く
澄
(
すみ
)
わたった大気の底に、
銀梨地
(
ぎんなしじ
)
のような星影がちらちらして、
水藻
(
みずも
)
のような
蒼
(
あお
)
い
濛靄
(
もや
)
が、一面に地上から
這
(
はい
)
のぼっていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼女は、自分をこんなに困らせる
家人
(
おとな
)
を、自分も困らしてやろうとばかり考えた。暗い
陽
(
ひ
)
の遠い味噌蔵に
這
(
はい
)
っている、青大将も
怖
(
こわ
)
くなければ、いたずらに出てくる
鼠
(
ねずみ
)
にも
馴
(
な
)
れた。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
這
漢検準1級
部首:⾡
11画
“這”を含む語句
這入
這出
這々
這般
四這
腹這
這奴
這上
出這入
這込
這個
這箇
這裏
横這
這入込
這奴等
這麽
夜這
御這入
這廻
...