およ)” の例文
コックス説に古アリア人の神誌に、春季の太陽を紅また金色の卵と見立て、のちキリスト教興るにおよびこれを復活の印相としたという。
而れども言語の未だ血肉とならざりし世にありし靈魂の王たる人々のこゝにあるを見るにおよびて、我眼は千行ちすぢの涙を流しつ。
余矢田少属ヲシテ答ヘシメテ曰クヅ遠田志田登米ノ版籍ヲ収メテ然ル後栗原ニおよバントス。期ハ当ニ九日ヲ以テスベシト。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しや当分は一進一退の姿にてあらんも、必らず手腕ある劇詩家の出づるにおよんで劇界との折合も付き、こゝに此の世界の新面目を開くべしと思はるゝなり。
劇詩の前途如何 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ひそかおもうに、嘉永、安政より元治、慶応におよんで三個の思想あり。一は原動的思想にして、他は反動的思想なり、しこうしてその中間にるは折衷せっちゅう的思想なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
次で金澤蒼夫さんを訪うて、系譜をけみし談話を聽き、壽阿彌去後の眞志屋のなりゆきを追尋して、あらゆるトラヂシヨンの絲を斷ちつた維新の期におよんだ。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
期におよびて還さざらんか、彼はたちま爪牙そうがあらはし、陰に告訴の意を示してこれをおびやかし、散々に不当の利をむさぼりて、その肉尽き、骨枯るるの後、く無き慾は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
博奕其のものの善悪は論外として、其の親分なるものの性格には洵におよび難い美点があつた。
侠客の種類 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
〔譯〕凡そ事に眞是非しんぜひ有り、假是非かぜひ有り。假是非とは、通俗つうぞくの可否する所を謂ふ。年わかく未だ學ばずして、先づ假是非をれうし、後におよんで眞是非を得んと欲するも、亦入りやすからず。
潮引き波去るの後におよんで之を塵埃じんあい瓦礫がれき紛として八方に散乱するのみ。またいささかの益する所なきが如しといへどもこれによりてその学が世上の注意をくに至るあるは疑ふべからざるなり。
史論の流行 (新字旧仮名) / 津田左右吉(著)
たくみなりと雖もせまる。本句におよばず。(老学庵筆記、巻四)
次いで糧食乏しくなりて人相食あいはむにおよんだ、その時一婦人坐して餓死するよりはいっそインディアンか野獣に殺さるるがましと決心して
寛永の鎖国令こそ千秋せんしゅうの遺憾なれ。もしこの事だになくは、我が国民は南洋群島より、支那シナ印度インド洋におよび、太平洋の両岸に、その版図を開きしものそれ幾何いくばくぞ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
医ハソノ好ム所ニ非ズトイフ。某氏ノ子ヲ養ヒ嗣ト為シテ仕ヲ辞ス。嗣子罪アリ籍ヲ削ラルヽニおよビ、家ヲ携ヘテ四方ニ漫遊ス。性はなはだ酒ヲたしなム。獲ル所酒ニク。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかるに昨年の暮におよんで、一社員はまた予をおとずれて、この新年の新刊のために何か書けとうた。
鴎外漁史とは誰ぞ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
骨牌かるたの会は十二時におよびて終りぬ。十時頃より一人起ち、二人起ちて、見る間に人数にんずの三分の一強を失ひけれども、なほ飽かで残れるものは景気好く勝負を続けたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我を誘ひ出して酒店さかみせに至り、初め白き基督涙號ラクリメエ、クリスチイを傾け、次いで赤き「カラブリア」號を倒し、わが最早え飮まずといなむにおよびて、さらば三鞭酒シヤンパニエもて熱をさませなどいひ、よろこびを盡して別れぬ。
これを強いて解きに掛かるより豕がオルガンを奏すてふ俚語におけるごとく、諸説紛々たるも今におよんでいずれが正解と判断し能わぬ。
さしもの強風ごうふうなりしかど、消防つとめたりしにりて、三十幾戸を焼きしのみにて、午前二時におよびて鎮火するを得たり。雑踏のうちより怪き奴は早くも拘引せられしと伝へぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかれども松下村塾に到りては、独り当時における偉大の結果のみならず、流風遺韵いいん、今におよんでなお人をして欽仰きんぎょう嘆美の情、禁ずるあたわざらしむるものあり。これ何に由りて然るか。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
七、八種もある馬属中馬と驢のみ測るべからざる昔より人にわれてその用を足した事これ厚きに、その他の諸種は更になつかず、野生して今におよんだも奇態だ。
さて人の児がどうして狼に乳育さるるにおよんだかてふ問題をポール解いて次の通り述べた。
されば今におよんで欧州諸国にその名を