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身許
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みもと
ふりがな文庫
“
身許
(
みもと
)” の例文
「で犯行の
手掛
(
てがかり
)
は? 被害者の
身許
(
みもと
)
が分らないとすると、せめて、犯人の手口を示す、
一寸
(
ちょっと
)
した証拠でも残ってはいなかったかしら」
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さてその女の
身許
(
みもと
)
であるが、それも案外に早く判った。その当日、駿河屋の養子の信次郎も、商売用で浅草の花川戸まで出向いた。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「わたしはゆだんをしたようだ。わたしは本隊の出発当日、
身許
(
みもと
)
の知れない覆面の人物を本艇や僚艇に出入りすることを許したようだ」
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もしそれがだめだったら、あの方を刺し止め、宮瀬川へ流したうえ、自分も
身許
(
みもと
)
の知れないようにして死のう、と覚悟していた。
やぶからし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
身許
(
みもと
)
の確かなもので、父親の代から、二代も此家に奉公し、今では客分のような掛り人のような扱いをして居ります」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
下の甲板から此の時
印度
(
インド
)
の殖民地へ出稼ぎに
行
(
ゆ
)
くイギリスの鉄道工夫が二三人と、
香港
(
ホンコン
)
へ行くとか云ふ
身許
(
みもと
)
の知れぬ女とが声を
合
(
あは
)
せて歌ふのを聞付けた。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
強
(
し
)
いて彼女の不機嫌を買ってまで、当時のナオミの
身許
(
みもと
)
や
素性
(
すじょう
)
を洗い立てる必要はありませんから、成るべくそれには触れないことにして置きましょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「誰も、君が菱屋の番頭だとも、盗賊の目付だとも言いはせん、ただその盗賊の
身許
(
みもと
)
を君に尋ねてみたまでじゃ」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
事件の中における彼らの姿の描出は
鮮
(
あざ
)
やかであっても、そうしたことをしでかすまでに至る彼ら一人一人の
身許
(
みもと
)
調べの欠けているのが、
司馬遷
(
しばせん
)
には不服だった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
すっかり女の
身許
(
みもと
)
から、匡衡がそこへ泊った時までを確実に調べ上げて置いて、丁度匡衡の其処に居た折、「我が宿のまつにしるしも無かりけり杉むらならば尋ねきなまし」
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そりゃア何うも先生の
前
(
めえ
)
でげすが、アヽやってお嬢さんもぶらぶら
塩梅
(
あんべえ
)
が悪くッてお
在
(
いで
)
なさるし、何うかお気の紛れるようにと思って、
私
(
わっし
)
ア
身許
(
みもと
)
から知ってる
堅
(
かて
)
え芸人でげすから
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その前は谷中にいたが、彼処は墓地で、五重塔の下の芥坂という所は「投込み」といって、東京で
首括
(
くびくく
)
りとか身投げなどの
身許
(
みもと
)
の分らない者を身寄りの者が出て来るまで仮に埋葬する所であった。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
「君はあの人の
身許
(
みもと
)
を知っているのかい?」
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
巾着切りの災難を救ってくれた礼心ばかりでなく、年ごろの伜を持っているおきぬは、かの娘の
身許
(
みもと
)
を知って置きたいと思ったのである。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
相手はあのとおり乞食だし、じつはこれこれだと云いふらしても、信用する者はないだろう、仮に信用する者があり、
身許
(
みもと
)
を
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
行きあたりばったりの殺人だから、被害者の
身許
(
みもと
)
がわかっても犯人との関係を手繰ってゆくわけにはゆかない。この点ちょっとむずかしいと思う。
探偵会話 下駄を探せ:――芝公園 女の殺人事件――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで、主人の経歴、細君の
身許
(
みもと
)
其他様々の取調べがあったけれど、それらは別段疑うべき点もなく、この話の筋に大した関係もないので略することにする。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「この間、雪子ちゃんを貰いたい云うのんで、あたし等の
身許
(
みもと
)
を調べた人があってんわ。尤もその話は破れたよってに、雪子ちゃんには云わんと置いたけど」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見も知らないところで、玄関から物々しく、武者修行の案内を求めてこそ、芝居もほんものになるが、
身許
(
みもと
)
をすっかり知られてしまってからでは、気が抜けてしまって芝居にならない。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「八、この男の
身許
(
みもと
)
を洗つてくれ、生れ乍らの物貰ひぢやあるめえ」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「むろん
身許
(
みもと
)
はわかりますまい?」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
これで先ず死人の
身許
(
みもと
)
は判ったが、かれが何者に連れ出されて、どうして殺されたかということは
些
(
ち
)
っとも想像が付かなかった。
半七捕物帳:28 雪達磨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
被害者の
身許
(
みもと
)
を調べてみると、もと『暁団』という暴力団にいた
錨
(
いかり
)
健次こと橋本健次(二八)だということが判明した。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
身許
(
みもと
)
は厳秘になっているのでわからないが、相当な富豪の娘らしい。年は二十二か三くらいになるだろう。名はゆみといい、
縹緻
(
きりょう
)
もめだつほうである。
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先は名の知れた方の御子息ですから、そんなことをする迄もないでしょうけれども、
身許
(
みもと
)
調べをしてよいのなら私等の方でも調べますから、云って来て下さい。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
推定被害者長吉の
身許
(
みもと
)
については、丁度
抱主
(
かかえぬし
)
中村家の主婦が湖畔亭へかけつけていましたので、彼女から詳しく知ることが出来ました。その時彼女は、恐しく多弁に色々な事柄を述べ立てました。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ところで、お玉の
身許
(
みもと
)
を訊きたいが」
銭形平次捕物控:160 二つの刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
半七はあとに残って、其月の
身許
(
みもと
)
しらべに取りかかった。かれの親類や、かれの弟子や、出入りの者や、それらの住所姓名を一々に調べることにした。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「住居があり、
身許
(
みもと
)
引受人がいるなら、このまま帰してやろう」と青木は忍耐づよく云った、「住居はどこだ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして
身許
(
みもと
)
不明の
轢死
(
れきし
)
婦人のハンドバッグの底に発見せられたのも、
矢張
(
やは
)
り同じフィルムだった。この映画が写し出されたが最後、意外なことが起るのではないか。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
野村さんの
身許
(
みもと
)
調べなども一切本家がしているような訳だから、———と、雪子が悪く思われないように、
専
(
もっぱ
)
ら本家へ責任をなすりつけるような
挨拶
(
あいさつ
)
をして帰したのであったが
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんなのを詮議したら、大抵の見当は付くだろう。松には品川の方を受け持たせて、男の
身許
(
みもと
)
を洗わせて見よう
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「——紙入の中にゃあ二両ばかりへえってるが、名札もところ書もねえんで、まるっきり
身許
(
みもと
)
がわからねえ」
追いついた夢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
例の
身許
(
みもと
)
の知れぬ
轢死
(
れきし
)
婦人のことも、一度は問題になったが、着衣も所持品も違っていた。といって
外
(
ほか
)
に年齢の点で似合わしき自殺者もなかった。生か死かも判然しなかった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見合いより先に
身許
(
みもと
)
調べをして置きたいこと、見合いには矢張仲介人を立てて一と通りの形式を
蹈
(
ふ
)
みたいことなど、誰に聞かれても尤もな道理を
楯
(
たて
)
に、一往の日延べを乞う方法もあるが、女だてらに
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分が源次に云いつけて、上州屋の奉公人どもの
身許
(
みもと
)
をあらわせたのも、つまりはそれと同じ趣意であった。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「——だがな、あにい、こんどいろいろきいてまわっているうちに、役所のほうではあにいの
身許
(
みもと
)
も、名めえもとしもすっかりわかっている、ってえことを聞いたぜ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これも皆、深山の仕業です。夫人は
身許
(
みもと
)
のわかることを恐れて、いつもあのような服装を持って居られました。あれは最も平凡な、世間にザラにある持ちものを集められたのです。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今度は貞之助が一日も早くと
急
(
せ
)
き立てるので、明くる日、見合いの報告と
身許
(
みもと
)
調べの催促とを兼ねて上本町の本家へ行き、雪子を阪大へ連れて行くことを一往姉に答えて置いてから、その又明くる日
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「どうだろう。うまくその幽霊の正体を突き止める
工夫
(
くふう
)
はあるまいか。幽霊の
身許
(
みもと
)
が判って、その法事供養でもしてやれば、それでよかろうと思うんだが……」
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「だが念のために
身許
(
みもと
)
などはよくたしかめないといけないな、すべておまえに任せるから頼むぞ」
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もう一つ第四に、三人とも殺されるほどの事情を一向持っていなかったということ。それからこれは
附
(
つ
)
け
足
(
た
)
りだが、三人が三名とも名刺入れをもっていて、直ぐに
身許
(
みもと
)
が判明したそうだ。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「どうだらう。
巧
(
うま
)
くその幽靈の正體を突き止める
工夫
(
くふう
)
はあるまいか。幽靈の
身許
(
みもと
)
が判つて、その法事供養でもして
遣
(
や
)
れば、それでよからうと思ふんだが……。」
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
近所とは申しながら丸多の店とは少し
距
(
はな
)
れて居りますので、すぐにそれとは判りかねたと見えまして、御検視なども済みまして、その
身許
(
みもと
)
もようようはっきりして
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それまでには私の方でもよく先方の
身許
(
みもと
)
を取調べまして、浅井の兄さんは夏夫といって某会社で相当の地位を占めていること、夏夫さんには奥さんも子供もあること
鰻に呪われた男
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おそらく
身許
(
みもと
)
は判るだろうと思うのですけれど、うっかりしたことを言っていいか悪いか判りませんから、わたくしは急いで家へ帰って来て、母にその話をしますと
蜘蛛の夢
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
身許
(
みもと
)
も気心もまるで知れないものを迂濶に引き合わせる訳には行かないと、彼女はしばらくその返答に躊躇していると、女もそれを察したらしく、気の毒そうに云った。
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
平生
(
へいぜい
)
ならともあれ、あの大混乱の最中に
身許
(
みもと
)
不明の彼女が、たとい邦原家の門前に落ちていたとしても、その兜をすぐに邦原家の品物と認めたというのが少しく不審である。
兜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
自身番から近所の医者を迎えに行っている間に、かれは自分の
身許
(
みもと
)
を明かした。彼は加賀生まれの勘蔵というもので、三年前から
田町
(
たまち
)
の車湯という湯屋の三助をしていると云った。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こんな商売をしていながら、割合に人
摺
(
ず
)
れのしていないお吉は、半七に嚇されてもう息も出ないくらい顫え上がっていた。しかし
彼
(
か
)
の武士たちの
身許
(
みもと
)
はどうしても知らないと云った。
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
許
常用漢字
小5
部首:⾔
11画
“身許”で始まる語句
身許検
身許透視器