殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回) (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さてその女の身許であるが、それも案外に早く判った。その当日、駿河屋の養子の信次郎も、商売用で浅草の花川戸まで出向いた。
半七捕物帳:57 幽霊の観世物 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「身許の確かなもので、父親の代から、二代も此家に奉公し、今では客分のような掛り人のような扱いをして居ります」
銭形平次捕物控:246 万両分限 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「誰も、君が菱屋の番頭だとも、盗賊の目付だとも言いはせん、ただその盗賊の身許を君に尋ねてみたまでじゃ」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すっかり女の身許から、匡衡がそこへ泊った時までを確実に調べ上げて置いて、丁度匡衡の其処に居た折、「我が宿のまつにしるしも無かりけり杉むらならば尋ねきなまし」
根岸お行の松 因果塚の由来 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巾着切りの災難を救ってくれた礼心ばかりでなく、年ごろの伜を持っているおきぬは、かの娘の身許を知って置きたいと思ったのである。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
行きあたりばったりの殺人だから、被害者の身許がわかっても犯人との関係を手繰ってゆくわけにはゆかない。この点ちょっとむずかしいと思う。
探偵会話 下駄を探せ:――芝公園 女の殺人事件―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
見も知らないところで、玄関から物々しく、武者修行の案内を求めてこそ、芝居もほんものになるが、身許をすっかり知られてしまってからでは、気が抜けてしまって芝居にならない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「八、この男の身許を洗つてくれ、生れ乍らの物貰ひぢやあるめえ」
銭形平次捕物控:023 血潮と糠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
赤ひげ診療譚:01 狂女の話 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
先は名の知れた方の御子息ですから、そんなことをする迄もないでしょうけれども、身許調べをしてよいのなら私等の方でも調べますから、云って来て下さい。
「ところで、お玉の身許を訊きたいが」
銭形平次捕物控:160 二つの刺青 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
半七はあとに残って、其月の身許しらべに取りかかった。かれの親類や、かれの弟子や、出入りの者や、それらの住所姓名を一々に調べることにした。
半七捕物帳:36 冬の金魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そんなのを詮議したら、大抵の見当は付くだろう。松には品川の方を受け持たせて、男の身許を洗わせて見よう
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自分が源次に云いつけて、上州屋の奉公人どもの身許をあらわせたのも、つまりはそれと同じ趣意であった。
半七捕物帳:22 筆屋の娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
これも皆、深山の仕業です。夫人は身許のわかることを恐れて、いつもあのような服装を持って居られました。あれは最も平凡な、世間にザラにある持ちものを集められたのです。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それまでには私の方でもよく先方の身許を取調べまして、浅井の兄さんは夏夫といって某会社で相当の地位を占めていること、夏夫さんには奥さんも子供もあること
身許も気心もまるで知れないものを迂濶に引き合わせる訳には行かないと、彼女はしばらくその返答に躊躇していると、女もそれを察したらしく、気の毒そうに云った。
半七捕物帳:16 津の国屋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)