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蹴放
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けはな
ふりがな文庫
“
蹴放
(
けはな
)” の例文
昨夜
(
ゆふべ
)
の収めざる
蓐
(
とこ
)
の内に貫一は着のまま
打仆
(
うちたふ
)
れて、
夜着
(
よぎ
)
も
掻巻
(
かいまき
)
も
裾
(
すそ
)
の
方
(
かた
)
に
蹴放
(
けはな
)
し、
枕
(
まくら
)
に
辛
(
から
)
うじてその
端
(
はし
)
に
幾度
(
いくたび
)
か
置易
(
おきかへ
)
られし
頭
(
かしら
)
を
載
(
の
)
せたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その侍は牛の御前のほうから出て来て、おみやの
蹴放
(
けはな
)
されるのを見て、なに事とも知らぬまま、駆けつけたようであった。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
吐露
(
ぬかす
)
な
飛
(
とん
)
だ才六めだ錢を貸す
貸
(
かさ
)
ぬは
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も汝の口から馬鹿八とは何のことだ今
一言
(
ひとこと
)
云
(
ぬか
)
したら
腮骨
(
あごぼね
)
を
蹴放
(
けはな
)
すぞ誰だと思ふ
途方
(
とはう
)
もねへと云へば
切首
(
きりくび
)
は眼を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
咄嗟
(
とっさ
)
の間にソレだと思って狼狽したらしい。ガブリと潮水を呑まされながら、死に物狂いに
蹴放
(
けはな
)
して、無我夢中で舟に這い上ると、ヤット落付いてホッとしたもんだが……
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
冬子も恩人の危険を見ては
居
(
い
)
られぬ、這いながら
一人
(
いちにん
)
の足に絡み付くと、𤢖は鉄のような爪先で強く
蹴放
(
けはな
)
したので、
彼女
(
かれ
)
は
脾腹
(
ひはら
)
を
傷
(
いた
)
めたのであろう、一旦は気を失って倒れた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
乙平は捨てて置けなくなったので、手早く身体を拭いて
帷子
(
かたびら
)
を引掛け、刀を掴み取る暇もなく
素跣足
(
すはだし
)
のまま庭へ飛び下り、黒部の
柴折戸
(
しおりど
)
を
蹴放
(
けはな
)
すようにして隣の庭へ飛び込んで行った。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
が、本能的に、今だっ、と床下から飛び出して、邸内に駈け上ると、見当をつけた居間の方へ飛び込んで行った。
蹴放
(
けはな
)
すように開けた扉の向うに、背の高い白人の姿が見えた。デューランだ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
障子を
蹴放
(
けはな
)
して
驀地
(
まつしぐら
)
に
躍込
(
おどりこ
)
めば、
人畜
(
にんちく
)
相戯
(
あひたはむ
)
れて
形
(
かた
)
の如き不体裁。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
敢て立つ、岩根
蹴放
(
けはな
)
つ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今や抜刀斬込み隊の勢いである、遠慮は無用、杉戸をがらりと明けて、襖は土足のままこれを
蹴放
(
けはな
)
してずかずかゆく、非常に壮快だ、無人の野を
席捲
(
せっけん
)
する概がある
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
古今東西の如何なる聖賢、英傑と
雖
(
いえど
)
も、一個のミナト屋のオヤジに出会ったら最後、鼻毛を読まれるか、
顎骨
(
あごぼね
)
を
蹴放
(
けはな
)
されるかしない者は居ないであろう。試みに
挙
(
こ
)
す。看よ。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
バチンバチンと庭の
面
(
も
)
を打つ騒ぎに、
並居
(
なみい
)
る渡世人や百姓の面々は、すはこそ出たぞ、地震地震と取るものも取りあえず、燭台を蹴倒し、雨戸を
蹴放
(
けはな
)
して家の外へ飛び出せば
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
りゅうのやつに杖を
蹴放
(
けはな
)
されて、みじめに土間へひっくり返ったときも、ちくしょうとは思ったがやる気にはなりませんでした、それから義一が上り端へ出て来て、——ひとをいい笑い者にしたとき
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もしそれ百尺
竿頭
(
かんとう
)
、百歩を進めた
超凡越聖
(
ちょうぼんおっしょう
)
、
絶学
(
ぜつがく
)
無造作裡
(
むぞうさり
)
に、
上
(
かみ
)
は神仏の
頤
(
あご
)
を
蹴放
(
けはな
)
し、
下
(
しも
)
は聖賢の鼻毛を数えるに到っては天魔、鬼神も
跣足
(
はだし
)
で逃げ出し、軒の鬼瓦も腹を抱えて転がり落ちるであろう。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蹴
常用漢字
中学
部首:⾜
19画
放
常用漢字
小3
部首:⽁
8画
“蹴”で始まる語句
蹴
蹴出
蹴飛
蹴落
蹴上
蹴鞠
蹴散
蹴立
蹴込
蹴倒