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蹌踉
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よろよろ
ふりがな文庫
“
蹌踉
(
よろよろ
)” の例文
痛む足を重さうに引摺つて、旅人は
蹌踉
(
よろよろ
)
と歩いて行く。十時間の間何も食はずに歩いたので、粟一粒入つてゐない程腹が凹んでゐる。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
(
何某
(
なにがし
)
。)とかの
筆
(
ペン
)
を持った一人が声を懸けると寝台の上に
仰向
(
あおむ
)
けになっていたのは、
辷
(
すべ
)
り落ちるように下りて
蹌踉
(
よろよろ
)
と外科室へ
入交
(
いりかわ
)
る。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二三度
彼方此方
(
あちこち
)
で小突かれて、
蹌踉
(
よろよろ
)
として、
危
(
あや
)
うかったのを
辛
(
やッ
)
と
踏耐
(
ふんごた
)
えるや、
後
(
あと
)
をも見ずに
逸散
(
いっさん
)
に宙を飛で
家
(
うち
)
へ帰った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼のまはりには何時になつても、庭をこめた
陽炎
(
かげろふ
)
の中に、花や若葉が煙つてゐた。しかし静かな何分かの後、彼は又
蹌踉
(
よろよろ
)
と立ち上ると、執拗に鍬を使ひ出すのだつた。
庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
武智十次郎ならねども、美しい白が血だらけになって、
蹌踉
(
よろよろ
)
と帰って来る姿を見ると、生殖の苦を
負
(
お
)
う動物の運命を憐まずには居られなかった。一日其牝犬がひょっくり遊びに来た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
と叫ぶと
蹌踉
(
よろよろ
)
と椅子の方へ倒れかかった。加十、失神しなければよいが。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
なおも
蹌踉
(
よろよろ
)
と歩みを運んで、とうとうネオン横丁をとおり抜け、その辻の薄暗い光の下に暫く佇立していたが、決心がついたのでもあろうか、その儘まっすぐに三越裏の壁ぎわを這うようにつたわり
ネオン横丁殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は数間先を
蹌踉
(
よろよろ
)
と歩いている女の背後から声をかけた。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
彼は
蹌踉
(
よろよろ
)
と
踏出
(
ふみいだ
)
せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
図書 (心づき、
蹌踉
(
よろよろ
)
と、且つ
呼吸
(
いき
)
せいて急いで寄る)姫君、お言葉をも顧みず、三度の推参をお許し下さい。
私
(
わたくし
)
を賊……賊……
謀逆人
(
むほんにん
)
、逆賊と申して。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
犬は旅人を見ると、なつかしげにぱたぱた細い尾を動かしたが、やをら立上つて
蹌踉
(
よろよろ
)
と二三歩前に歩いた。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
不便
(
ふびん
)
さもかばかりなるは、と駈け着ける
中
(
うち
)
、
操
(
あやつり
)
の糸に掛けられたよう、お雪は、左へ右へ
蹌踉
(
よろよろ
)
して、しなやかな姿を
揉
(
も
)
み、しばらく争っているようでありました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
明
(
あかる
)
い町に、お辞儀をして、あの板の並んだ道を、船に乗ったように
蹌踉
(
よろよろ
)
した。酔っています。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
命
(
いい
)
つけられて内儀は
恐々
(
こわごわ
)
手を
曳
(
ひ
)
いて導けば、怪しき婦人は逆らわず、素直に夫婦に従いて、さもその情を謝するがごとく秋波斜めに泰助を見返り見返り、
蹌踉
(
よろよろ
)
として出行きぬ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
透かさぬ
早業
(
はやわざ
)
、
頭
(
ず
)
を
倒
(
さかさ
)
に、地には着かぬ、が、
無慚
(
むざん
)
な老体、
蹌踉
(
よろよろ
)
となって倒れる背を、側の向うの電信柱にはたとつける、と
摺抜
(
すりぬ
)
けに支えもあえず、ぼったら焼の
鍋
(
なべ
)
を敷いた
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
渠は胸中の劇熱を消さんがために、この
万斛
(
ばんこく
)
の水をば飲み尽くさんと覚悟せるなり。渠はすでに前後を忘じて、一心死を急ぎつつ、
蹌踉
(
よろよろ
)
と
汀
(
みぎわ
)
に寄れば、
足下
(
あしもと
)
に物ありて
晃
(
きらめ
)
きぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
豆府屋
蹌踉
(
よろよろ
)
して
踏
(
ふみ
)
こたえ、「がみがみ
謂
(
い
)
うない、こっちあ商売だ。」と少しく
勃然
(
むっ
)
とする。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋杭
(
はしぐい
)
ももう
痩
(
や
)
せて——
潮入
(
しおい
)
りの小川の、なだらかにのんびりと
薄墨色
(
うすずみいろ
)
して、瀬は愚か、流れるほどは揺れもしないのに、水に映る影は弱って、
倒
(
さかさま
)
に宿る
蘆
(
あし
)
の葉とともに
蹌踉
(
よろよろ
)
する。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お蔦も
勢
(
いきおい
)
に連れて
蹌踉
(
よろよろ
)
起きて出て、自慢の番茶の
焙
(
ほう
)
じ加減で、三人睦くお取膳。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹌踉
(
よろよろ
)
と、壁へ手をつくばかりにして、壇を下り切ると、主税は
真暗
(
まっくら
)
な穴へ落ちた
思
(
おもい
)
がして、がっくりとなって、
諸膝
(
もろひざ
)
を
支
(
つ
)
こうとしたが、先生はともかく、そこまで送り出そうとした夫人を、平に
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と一ツしゃくり附けると、革を離して、
蹌踉
(
よろよろ
)
と
凭
(
もた
)
れかかる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“蹌踉”の意味
《名詞》
蹌踉(そうろう)
足元がよろめくさま。
(出典:Wiktionary)
蹌
漢検1級
部首:⾜
17画
踉
漢検1級
部首:⾜
14画
“蹌踉”で始まる語句
蹌踉々々
蹌踉蹌踉
蹌踉状