ふま)” の例文
各地方にそれぞれ同じ意味の唄が、少しずつ言葉が違って伝えられているのであろう。「どこまでわせた」もそういう文句をふまえたものに相違ない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
大きな静かな主観をふまえての客観写生句を熱望します。時にはまた強烈な熱情を踏まえての客観写生句を熱望します。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
イヤそれは嘘言うそだ、上村君にもし相手があったら北海道の土をふまぬ先に変節していただろうと思う、女と言うやつが到底馬鈴薯主義を実行しるもんじゃアない。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
白く千鳥を飛ばしたの絹縮みの脊負上しょいあげ。しやんとまった水浅葱みずあさぎおなじ模様の帯留で。雪のような天鵞絨とうてんの緒を、初霜薄き爪先つまさきかろふまえた南部表なんぶおもてまさの通った船底下駄ふなぞこげた
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
およそ半年はんとしあまり縮の事に辛苦しんくしたるは此初市のためなれば、縮売ちゞみうりはさら也、こゝにあつまるもの人のなみをうたせ、足々あし/\ふまれ、肩々かた/\る。よろづ品々しな/″\もこゝにみせをかまへ物をる。
その脚の下には大地をふまえ、肩の上には天を支えて微塵の動ぎをも見せない巨柱のように衝っ立ってはいるが、樹は一瞬の間も休みなく変化を続けて、その大きさを増しているのだ。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
押分難おしわけがた其處そこ此處こゝもま踉蹌中どよめくうち思はず其處へばたりと倒れふし既に人にもふまれんとするを大岡殿馬上より是を見られをんなたすけよと聲をかけらるゝに先に進みし同心畏まり候と馳寄はせよつてお政を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
漱石氏が『坊ちゃん』に用いた「かねや太鼓でねえ、迷子の迷子の三太郎と、どんどこどんのちゃんちきりん……」といううたなども、やはりこの迷子さがしをふまえているようだから
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
極陰の地にあなを作り、屋をつくかけ、別に清浄しやう/″\の地にかきをめぐらして、人にふませず、鳥獣てうじうにもけがさせず、しかして雪をまち、雪ふれば此地の雪をかのあなつきこめうづめ、人是を守り、六月朔日是をひらき
初桜というものは花の量の乏しいことを現すと同時に、季節においてやや早いというところをふまえている。そこに灸をすえるために脱いだ肌の寒さというようなものが感ぜられて来る。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
極陰の地にあなを作り、屋をつくかけ、別に清浄しやう/″\の地にかきをめぐらして、人にふませず、鳥獣てうじうにもけがさせず、しかして雪をまち、雪ふれば此地の雪をかのあなつきこめうづめ、人是を守り、六月朔日是をひらき