負傷ふしょう)” の例文
はたして、その、このまち大火たいかこりました。そして、ほとんど、まち大半たいはん全滅ぜんめつして、また負傷ふしょうしたひとがたくさんありました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
戦場で負傷ふしょうしたきずに手当てをする余裕よゆうがなくてっちゃらかしておくと、化膿かのうしてそれにうじ繁殖はんしょくする。その蛆がきれいにうみをなめつくしてきずがえる。
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
だがホーベスの負傷ふしょうは、急所の痛手いたでなので、この妙薬みょうやく効験こうけんはなかった。かれは自分でとうてい助からないと知り、眼をかすかに開いて、ケートの顔をしみじみとながめていった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それから彼は作代さくだいに妻をもたせて一家を立てゝやったり、義弟が脚部に負傷ふしょうしたりすると、荷車にのせて自身いて一里余の道を何十度も医者へ通ったり、よく縁者の面倒めんどうを見る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「このまちさわがしたしろ悪魔あくまは、こいつでなかったか?」と、いつか負傷ふしょうした運転手うんてんしゅは、ふとこころおもいました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
運転手うんてんしゅは、負傷ふしょうをしました。そして、うめきながら、しろ着物きもの大男おおおとこをひきころしたとげました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「よくできました。これでおしまいにしましょうね。あしたは、おくにのために、負傷ふしょうをなさった、兵隊へいたいさんたちをおみまいにまいるのですよ。」と、おんな先生せんせいがいいました。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまでもんだ戦友せんゆうのことや、負傷ふしょうしたともだちのことを片時かたときもわすれることがありません。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜなら、世間せけんは、戦争せんそうにたいして無関心むかんしんなのか、それとも軍人ぐんじん戦争せんそうにいって負傷ふしょうをするのをあたりまえとでもおもっているのか、どちらかのようにしかかんがえられなかったからでした。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けん一は、ただ、その厚情こうじょう感謝かんしゃしました。かれ負傷ふしょうしたことを故郷こきょうおやにも、老先生ろうせんせいにもらさなかったのです。孝経こうきょうなか身体髪膚受之父母しんたいはっぷこれをふぼにうく不敢毀傷孝之始也あえてきしょうせざるはこれこうのはじめなり。と、いってあった。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
清作せいさくさんは、自分じぶんよりは、もっとおおきな負傷ふしょうをしたり、また手術しゅじゅつをうけたりした傷兵しょうへいのことが、おもされたのでした。あのひとたちは、いまごろ、どこにどうしておくっているだろうか。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょしろおとこて、汽車きしゃ脱線だっせんさしたばかりでなく、自分じぶん負傷ふしょうした運転手うんてんしゅは、神経衰弱しんけいすいじゃくから、むだえたのだと判断はんだんされたものの、とにかく汽車きしゃ脱線だっせんさした責任せきにんから退職たいしょくさせられて
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)