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誑
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だま
ふりがな文庫
“
誑
(
だま
)” の例文
今度ッからは、たとい私をお
誑
(
だま
)
しでも、蝋燭の嘘を
仰有
(
おっしゃ
)
るとほんとうに怨みますよ、と優しい
含声
(
ふくみごえ
)
で、ひそひそと申すんで。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両刑事は彼をどうかして自白させようと、或いは脅し、或いは
誑
(
だま
)
し
賺
(
す
)
かして妻子を
枷
(
かせ
)
に彼を釣ったかも知れない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
學校へ行つてから、高等科へ來てゐる木賃宿の子供を呼んで、これ/\の男が
昨夜
(
ゆうべ
)
泊つたかと訊いた。子供は泊つたと答へた。甲田は愈俺は
誑
(
だま
)
されたと思つた。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その時分から土地でも平気でやるやうになつて了つたのさ! 彼方をやめて帰つて来る時には、是非東京に帰つたら呼寄せるなんて、女を
誑
(
だま
)
して帰つて来たんだが——
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
私はもう是ぎり逢わねえとして
帰
(
けえ
)
るから、お前は其のお客を取るが
宜
(
い
)
い、
善
(
い
)
いお客だからお取りよ、私が馬鹿だから是まで
誑
(
だま
)
されてたんだ、
帰
(
けえ
)
るから羽織を出しておくれ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
「智恵の浅い岩石人ども、
誑
(
だま
)
して取り返してお目にかけましょう。腐木の谷までご案内ください」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
潜
(
ひそ
)
め我一ツ思ひ
付
(
つい
)
たる
手段
(
しゆだん
)
あり
其譯
(
そのわけ
)
は下女の菊は
生得
(
しやうとく
)
愚成者
(
おろかなるもの
)
なれば是に
云付
(
いひつけ
)
又七が
閨
(
ねや
)
へ忍ばせ
剃刀
(
かみそり
)
にて又七へ少しにても疵を付け
情死
(
しんぢう
)
せんとて又七に
誑
(
だま
)
され
口惜
(
くちをし
)
ければ
是非
(
ぜひ
)
とも又七を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お前にとりついとる狐が
誑
(
だま
)
しよるんやがなあ。降りんかい。
屋上の狂人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
蹴飛ばしてやろう、おのれ、見返してやろう、おのれ
誑
(
だま
)
してやろう、
嬲
(
なぶ
)
ってやろう、死ぬような目にあわしてやろう。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わちき
)
は本当に馬鹿に成ったの、能く素人は
女郎
(
じょうろ
)
はお客を
誑
(
だま
)
すなどゝ、私も素人の時分には云ったけれども、私ばかりはお客に
欺
(
だま
)
されて、主人にも朋輩にも済まない義理になり
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
持參なし引
替
(
かへ
)
にして百八十兩の金を能も
騙
(
かた
)
り取れたなイヤサ東海道五十三
次
(
つぎ
)
品川から
大津
(
おほつ
)
まで名を賣て居る此水田屋藤八を能も
誑
(
だま
)
し
騙
(
かた
)
つたなサア此上は
相良
(
さがら
)
の役所へ
拘引
(
おびき
)
出
(
だ
)
し
面
(
つら
)
の皮を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
宇治川の先陣争いで、佐々木が梶原を
誑
(
だま
)
した位の事は何でもない事になっている。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「狐狸の
誑
(
だま
)
し合い、考えて見りゃア面白いよ。お前は女だ
狢
(
むじな
)
と行け」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「吉造、見受けた処病気のようだよ。容体を診てやるが
可
(
い
)
い。」「およしなさいまし。この頃は乞食が
憐
(
あわ
)
れっぽく見せようために、ああやっちゃあ
誑
(
だま
)
しますよ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺はすっかり署長に
誑
(
だま
)
されたのだ。今となっては云い解く術がない
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「さあ、
彼奴
(
きゃつ
)
ら
誑
(
だま
)
されるかな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あたかも母の死に逢って志を果さず、まだ一たびも男に向って、
誑
(
だま
)
すの
嬲
(
なぶ
)
るのというはもとより、お世辞一ツ言わずにいた身をもって、これを梓に献じたのである。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
童謠
(
どうえう
)
は(
應
(
おう
)
)が
始
(
はじ
)
めて
來
(
きた
)
りし
稍
(
やゝ
)
以前
(
いぜん
)
より、
何處
(
いづこ
)
より
傳
(
つた
)
へたりとも
知
(
し
)
らず
流行
(
りうかう
)
せるものにして、
爾來
(
じらい
)
父母※兄
(
ふぼしけい
)
が
誑
(
だま
)
しつ、
賺
(
すか
)
しつ
制
(
せい
)
すれども、
頑
(
ぐわん
)
として
少
(
すこ
)
しも
肯
(
き
)
かざりき。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
日本人
(
ジャパニイス
)
の馬鹿が、
誑
(
だま
)
された
口惜
(
くやし
)
さに貴方を殺すという
騒動
(
さわぎ
)
です。はッはッ馬鹿な奴等だ。」
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
婆
(
ばあ
)
さん、お前にも
私
(
わたい
)
は
怨
(
うらみ
)
があってよ、
可
(
い
)
い加減なことをいって
誑
(
だま
)
してさ、お
肚
(
なか
)
が痛むか
擦
(
さす
)
ろうなんぞッて言っておくれだから、深切な人だと思ったわ、悔しいじゃあないかね。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“誑”の解説
誑 (おう)(sa: māyā、マーヤー)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
欺瞞。自分だけの利益や世間の評判(名聞利養)を得ようとして、様々なはかりごとを心に秘めて、自分が徳のある人物であると見せかける偽りの心である。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
誑
漢検1級
部首:⾔
14画
“誑”を含む語句
欺誑
誑惑
斗秤欺誑人
誑惑癖
誑死