見回みまわ)” の例文
そうこうするうちに、いつかがしらしらけはなれてきました。玄翁げんのうははじめてそこらを見回みまわしますと、石はゆうべのままにしろっていました。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
宗助はどこへ行って、宜道ぎどうのいる所を教えて貰おうかと考えながら、誰も通らない路の真中に立って四方を見回みまわした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのうちあめがざあざあってきて、うちへかえるにもかえれなくなりました。どうしようかとおもって見回みまわしますと、そこに大きな木のうろをつけました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
自分は何事が起ったのかほとんど判じかねて、敷居際しきいぎわ突立つったったまま、ぼんやり部屋の中を見回みまわした。途端とたんに下女の泣声のうちに、泥棒という二字が出た。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といいながら、そこらを見回みまわしました。みんなはみずがなくってこまっていたところへ、往来おうらいの男がみかんをくれたのでたすかったことをはなしますと、女はよろこんで
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
二人は小声で話しながら、大きな部屋にぎっしり詰まった人の頭を見回みまわした。その頭のうちで、高座こうざに近い前の方は、煙草の煙でかすんでいるようにぼんやり見えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ふしぎにおもってそこらをお見回みまわしになりますと、くつぬぎにそろえてある足駄あしだかげに、豆粒まめつぶのようなおとこ一人ひとりになってつっっていました。宰相殿さいしょうどのはびっくりして
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
りょうしは何事なにごとこったのかとおもって、山刀やまがたなってして、そこらを見回みまわりました。けれども、なにもそこにはほえてるようなあやしいものの、かげかたちえませんでした。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それで、どこかかくれるところはないかとおもって見回みまわしますと、おやしろのじきわきに、三抱みかかえもあるような大きなすぎの木がありました。その中はちょうどひと一人ひとりはいれるくらいのうつろになっていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
伊香刀美いかとみはすこし拍子ひょうしけがして、そこらをぼんやり見回みまわしました。すると水晶すいしょうかしたようにみきった湖水こすいの上に、いつどこからたか、八にん少女おとめがさもたのしそうにおよいであそんでいました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
といって、そこらを見回みまわしました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)