蜂起ほうき)” の例文
そのうちに青州地方(済南の東)にまた黄巾賊こうきんぞく蜂起ほうきしだした。中央が乱れると、響きに答えるように、この草賊はすぐ騒ぎ出すのである。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
政権奪取を目的とするクーデターは、支配階級の上層部をやっつければ、それですむが、俺たちは大衆蜂起ほうきが必要である。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
武装蜂起ほうき、と聞き、小さいナイフを買い(いま思えば、それは鉛筆をけずるにも足りない、きゃしゃなナイフでした)
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして諸国の源氏蜂起ほうきに際しては、清盛の日頃の専横に対し、奈良法師は公然の狼藉ろうぜきをもって示威したのであった。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
敦賀つるが大分おおいた名東みょうとう北条ほうじょう、その他福岡ふくおか鳥取とっとり、島根諸県には新政をよろこばない土民が蜂起ほうきして、斬罪ざんざい、絞首
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
又成政がドジを踏めば成政を自滅させて終うに足りるというので、ついに成政は其の馬鹿暴ばかあらい性格の欠陥により一揆の蜂起ほうきを致して大ドジを演じたから、立花
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
反乱は皆前方へ向かって進むものに限る。その他の蜂起ほうきは悪である。暴力的なあらゆる後退は皆暴動である。後退は人類に対する暴行である。反乱は真理の発作的激怒である。
「さあ、それがよく分らないんだ。イネ帝国の暴民たちが、蜂起ほうきしたのではあるまいか」
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この彪が副となって挙兵すれば天下の志士は蜂起ほうきして事を一挙に決するだろうという、梅田氏には限らぬ、悲憤慷慨の士の多くはそういう壮挙を計って水戸へ来る、その意気は大いによろしい
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
祠官蜂起ほうきして王に訴え、国中の豕を全滅せよと請うたのでその通りの勅令が出た。そこで黒人数千、刀を抜き棒を振って豕をみなごろしにせんといきまき、豕の飼い主また武装して豕の無罪を主張した。
やがてそのうちにいくじのない連中がまたもや蜂起ほうきして、獣の上にまたがって、⦅秘密⦆を手にした姦婦かんぷの面皮を引っがし、その紫色のマントを引き裂いて、⦅醜い体⦆を裸にするということだ。
すでに、宇治川で殲滅せんめつされている源三位頼政の一類が蜂起ほうきした事件よりも、はるかに小さい地方的の一騒擾そうじょうと見なしていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土民らはまた蜂起ほうきして反対党の先鋒となり、竹槍たけやり蓆旗むしろばたを立てて襲って来たので、彼の同志数十人はそのためにたおれ、あるものは松平周防守まつだいらすおうのかみの兵に捕えられ
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御領主の御領内も在来の者共の蜂起ほうきは思われる、剛気の大将ではあらせられても御味方は少く、土地の者は多い、かなわせられることでは無かろう、痛わしい御事である
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
金の無い一賤民せんみんだけが正しい。私は武装蜂起ほうきに賛成した。ギロチンの無い革命は意味が無い。
苦悩の年鑑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
朝の三時ごろには援兵が来るかも知れない——ある一つの連隊はあてにできる——パリー全市が蜂起ほうきするだろう。また一種の親しい快活さがこもってる恐ろしい言葉をかわしていた。
平安朝の「諸国に盗賊蜂起ほうきし」の時代から、つい近世の野武士や押込み流行などの頃まで、世がみだれれば必ずそれの出現はあったことであり
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれから社会の空気も一転し、これまで諸方に蜂起ほうきしつつあった種々さまざまな性質の暴動もしずまり、だれが言うともない標語は彼の耳にも聞こえて来るようになった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
およそ暴動の最初の蜂起ほうきほど異常なものはない。すべてが各所で同時に破裂する。それは予期されていたことであるか? しかり。それは前もって準備されていたことであるか? 否。
木村伊勢領内一揆蜂起ほうきの事は、氏郷から一面秀吉ならびに関東押えの徳川家康に通報し、一面は政宗へ、土地案内者たる御辺は殿下のかねての教令により出陣征伐あるべし、と通牒つうちょうして置て
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
また本願寺一類のことごとくも、それ、織田どのつまずきが見えたぞ、右大臣の滅落今にありと、のろいの鐘をつき鳴らして、北国東国も一度に蜂起ほうきいたしましょう
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死を決して幕府に当たろうとする長州主戦派の蜂起ほうきはその結果だ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
従って宮廷のみだれは、あざむかず、民間に反映して、地方にふたたび黄巾賊の残党やら、新しい謀叛人むほんにん蜂起ほうきして、洛陽城下に天下の危機が聞えてきた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
乱を見れば忽ち蜂起ほうきして、好餌こうじあさりまわる土匪どひの徒や野武士の集団は、故信長の遺業がここまでになっていても、まだまだ決して根絶されてはいない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みちのくの天地も、中央の余波から兵革へいかくのやむときはなかった。四方に蜂起ほうきする兇徒のなかにあって、顕家は
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六波羅の陥落と遠い東国の蜂起ほうきとが、日まで、符節ふせつを合わしたごとくおこなわれたその遠謀のたしかさに
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つちかって、これもいつ蜂起ほうきするか計りがたい。……妻子とひとつに暮らすなどは、さて、幾年の先になろうか
本国尾張の長嶋ながしまに、数万の本願寺門徒が蜂起ほうきして信長の一族彦七郎信興のぶおきは殺され、その居城は占領された。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまけに、比較的、被害のない四国、九州などの西海地方では、海賊の蜂起ほうきが、頻々として、聞えた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古文書類はすべて、寛永十四年に、肥前島原地方に起った世にいう“天草の乱”——切支丹軍の蜂起ほうきと、幕府の討伐軍との一戦乱があった当時の関係文書に尽きていた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だからこれを一揆いっきと呼んで、戦争とはいわない。時きらわず場所を選ばずに蜂起ほうきする事変である。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、諸国の早馬は、時しもしきりに都門へむかって、北条残党の蜂起ほうきの急を告げていた。
「もし、光秀と結ぶ者が、ふいに江州一円に蜂起ほうきしては? また伊勢の後ろに起っては?」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊勢、江州、北陸、諸国に蜂起ほうきしては彼を苦しめた宗門しゅうもん一揆いっきはたしかにそれだった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(どうなり行く世か?)と、憂えているところへ、地方に蜂起ほうきした黄巾賊の口々から
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁、諸所に蜂起ほうきした宮方の残党なるものも、数では知れたものだった。そしてその元兇も、大塔ノ宮の腹心の者で、いまなお叡山えいざんにいるという、殿でん法印ほういん良忠なることがほぼ分った。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また蜂起ほうきする一揆いっきをながめて、日頃、何と憤慨していたか
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
河内にも、自分の敵が、蜂起ほうきしていたのである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一時に蜂起ほうきすと聞えしかば
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、いちどに蜂起ほうきして
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)