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蘭燈
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らんとう
ふりがな文庫
“
蘭燈
(
らんとう
)” の例文
新字:
蘭灯
吉原の万字楼の
東雲
(
しののめ
)
の部屋に、夜明け方、宇津木兵馬はひとり起き直って、
蘭燈
(
らんとう
)
の
下
(
もと
)
に、その小指の傷を巻き直しています。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二つの灯りのうち、小さい寝室の
蘭燈
(
らんとう
)
だけを残して、
閻婆
(
えんば
)
はふッと灯を吹き消し、やがてコトコト階下へ沈んでしまった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
𢌞廊のあなたに、
蘭燈
(
らんとう
)
尚ほ
微
(
かすか
)
なるは
誰
(
た
)
が
部屋
(
へや
)
ならん、主は
此
(
こ
)
の
夜
(
よ
)
深
(
ふか
)
きにまだ寢もやらで、獨り黒塗の小机に打ちもたれ、
首
(
かうべ
)
を俯して物思はしげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
が、さしもの平中もこう云う座敷では、堂々たる時平の貫禄に押されて、別人のように貧弱に見え、
蘭燈
(
らんとう
)
なまめかしき
帳
(
とばり
)
の奥で逢う時のような魅力がない。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
葛籠
(
つゞら
)
の底に納めたりける
一二枚
(
いちにまい
)
の
衣
(
きぬ
)
を
打
(
うち
)
かへして、
浅黄
(
あさぎ
)
ちりめんの
帯揚
(
おびあげ
)
のうちより、五
通
(
つう
)
六通、数ふれば十二
通
(
つう
)
の
文
(
ふみ
)
を
出
(
いだ
)
して
旧
(
もと
)
の座へ
戻
(
もど
)
れば、
蘭燈
(
らんとう
)
のかげ少し暗きを
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
わたくしはかつて婦女を
後堂
(
こうどう
)
に
蓄
(
たくわ
)
えていたころ、絶えずこの事を考えていた。今日にあっても、たまたま
蘭燈
(
らんとう
)
の影暗きところに身を置くような時には、やはりこの事を考える。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
板戸へピッタリ食い付いて一寸ばかり戸をあけたが朱塗りの
蘭燈
(
らんとう
)
仄かに点り夢のように美しい部屋の中に一人の若い腰元が
半分
(
なかば
)
うとうと睡りながら種彦らしい草双紙を片手に持って読んでいた。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
傘なりに少し
屈腰
(
かがみごし
)
になって、その白い手で、トンと
敲
(
たた
)
いたと思うと、
蘭燈
(
らんとう
)
といいますか、かさなり咲いた
芍薬
(
しゃくやく
)
の花に、電燈を包んだような光明がさして、
金襴
(
きんらん
)
の
衾
(
ふすま
)
、
錦
(
にしき
)
の
褥
(
しとね
)
、
珊瑚
(
さんご
)
の枕、
瑠璃
(
るり
)
の床
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蘭燈
(
らんとう
)
の珠の光や
名木
(
めいぼく
)
のかそけき
香
(
にお
)
いが、
御簾
(
みす
)
ごしに
窺
(
うかが
)
われる。やんごとないお人の影と向いあって、
李師々
(
りしし
)
の白い横顔も
紗
(
しゃ
)
の中の物みたいだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遊ぶにしたところで、
蘭燈
(
らんとう
)
の影暗く浅酌低吟などという味なんぞは、毛唐にわかってたまるものか。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
家来共や腰元共の居る席では自分の容貌に
退
(
ひ
)
け目を感じて自然不機嫌になったけれども、
蘭燈
(
らんとう
)
の影ほのぐらい密室に這入り、夫人のいつに変らない
艶冶
(
えんや
)
な
媚笑
(
びしょう
)
を眼の前にすれば
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
女は
暫時
(
しばし
)
悾惚
(
うつとり
)
として、そのすゝけたる天井を見上げしが、
蘭燈
(
らんとう
)
の
火
(
ほ
)
かげ薄き光を遠く投げて、おぼろなる胸にてりかへすやうなるもうら
淋
(
さび
)
しく、
四隣
(
あたり
)
に物おと絶えたるに霜夜の犬の
長吠
(
とほゞ
)
えすごく
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
男の尻を押し出して、あとの窓を閉め終ると、彼女はもう何食わぬ
姿態
(
しな
)
だった。しぶしぶ
蘭燈
(
らんとう
)
に明りを入れ、そしてお化粧台から
階下
(
した
)
を
覗
(
のぞ
)
いて舌打ちした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、消えている
蘭燈
(
らんとう
)
のあたりに、
蒔絵
(
まきえ
)
の煙草盆が
覆
(
くつがえ
)
っていて、隅に、女性の脱ぎすてた
衣
(
きぬ
)
が冷たく乱れているほか、三つの部屋にも、その蒲団のうちにも、人はいなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“蘭燈”の意味
《名詞》
蘭のように美しい灯火。
(出典:Wiktionary)
蘭
漢検準1級
部首:⾋
19画
燈
部首:⽕
16画
“蘭”で始まる語句
蘭
蘭麝
蘭丸
蘭奢待
蘭医
蘭瞼
蘭方
蘭若
蘭学
蘭人