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藪鶯
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やぶうぐいす
ふりがな文庫
“
藪鶯
(
やぶうぐいす
)” の例文
路地の内ながらささやかな
潜門
(
くぐりもん
)
があり、小庭があり、
手水鉢
(
ちょうずばち
)
のほとりには思いがけない椿の古木があって
四十雀
(
しじゅうから
)
や
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
が来る。
花火
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
動物を飼っても知れるでないか。野放しの犬と教育した犬とはいずれが上等であるか。
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
と飼った鶯とはいずれが妙音を発するだろうか。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
清麗な老嬢は、その時、石をぶつけられた
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
のように
吃驚
(
びっくり
)
した声をして、
幇間
(
たいこもち
)
の桜川を
措
(
お
)
いて
灸点師
(
きゅうてんし
)
の前へ走っていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
井戸から東へ二間ほどの外は
竹藪
(
たけやぶ
)
で、形ばかりの四つ目垣がめぐらしてある。藪には今
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
がささやかな声に鳴いてる。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
裕佐がそのあとに続いた時、その草むらの中からは
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
がチチ、キキ、とないて飛び散った。崖の上は桑畑であった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
▼ もっと見る
「根岸の梅屋敷——龜戸梅屋敷と違つて、此處は御隱殿裏で、宮家住居の近くだから、
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
だつて
三下
(
さんさが
)
りぢや啼かねえ。
簫
(
しやう
)
篳篥
(
しちりき
)
に合せてホウホケキヨ——」
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
四十雀
(
しじゅうから
)
でも
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
でも、来たかと思うとすぐに行ってしまって、遊んでいようとする心持が少しもない。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
人気
(
ひとけ
)
のない時は、
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
が木の間を飛んでいたりして今まで自然の移りかわりなどに関心を持とうともしなかった銀子も、栗栖の時々書いて見せる俳句とかいうものも
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
寒竹の垣根つづきの細道を、寒竹の竹の子を抜きながらゆくと何処でか
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
が鳴いている。カラカラと、
辷
(
すべ
)
りのいい門の戸をあけると、
踏石
(
ふみいし
)
だけ残して、いろとりどりな松葉
牡丹
(
ぼたん
)
が一面。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ホーホケキョウの地声の外にこの二種類の啼き方をするのが値打ちなのであるこれは
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
では啼かないたまたま啼いてもホーキーベカコンと啼かずにホーキーベチャと啼くから
汚
(
きたな
)
い、ベカコンと
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
暖い日は、甲州の山が雪ながらほのかに
霞
(
かす
)
む。庭の梅の雪とこぼるゝ
辺
(
あたり
)
に耳珍しくも
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の初音が響く。然しまだ
冴
(
さ
)
え返える日が多い。三月もまだ中々寒い月である。
初午
(
はつうま
)
には
輪番
(
りんばん
)
に稲荷講の
馳走
(
ちそう
)
。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小禽
(
ことり
)
や
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の声がひっきりなしに
聞
(
きこ
)
えて来る。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
も 啼きました
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
露時雨
(
つゆしぐれ
)
夜ごとにしげくなり行くほどに落葉朽ち腐るる
植込
(
うえごみ
)
のかげよりは絶えず土の
香
(
か
)
薫
(
くん
)
じて、
鶺鴒
(
せきれい
)
四十雀
(
しじゅうから
)
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
なぞ小鳥の声は春にもまして
賑
(
にぎわ
)
し。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「庭へ長い影法師が
射
(
さ
)
して、せっかく明神様の森から来た、
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
が
啼
(
な
)
き止んだじゃないか。若くてイキの良い人間が
門口
(
かどぐち
)
に立っていることが解らなくてどうするんだ」
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の声もする。世は戦いというのにあわれ啼きぬいている。秀吉は、左右へ向って云った。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父が書斎の
丸窓
(
まるまどそと
)
外に、
八手
(
やつで
)
の葉は墨より黒く、玉の様な其の花は
蒼白
(
あおしろ
)
く輝き、南天の実のまだ青い
手水鉢
(
ちょうずばち
)
のほとりに
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の
笹啼
(
ささなき
)
が
絶間
(
たえま
)
なく聞えて屋根、
軒
(
のき
)
、窓、
庇
(
ひさし
)
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
月並
(
つきなみ
)
に形容すれば、
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の音といったような、愛らしい女の声です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
簪
(
かんざし
)
の玉のような白い花の咲く八ツ手の葉陰には
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
が
笹啼
(
ささなき
)
している。
鵯
(
ひよどり
)
は南天の実を啄もうと縁先に叫び
萵雀
(
あおじ
)
と
鶺鴒
(
せきれい
)
は水たまりの苔を啄みながら庭の上に
囀
(
さえず
)
る。鳩も鳴く。
四十雀
(
しじゅうから
)
も鳴く。
写況雑記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
梢
(
こずえ
)
に高く一つ二つ取り残された柿の実も乾きしなびて、霜に染ったその葉さえ
大抵
(
たいてい
)
は落ちてしまうころである。
百舌
(
もず
)
や
鵯
(
ひよどり
)
の声、
藪鶯
(
やぶうぐいす
)
の
笹啼
(
ささなき
)
ももうめずらしくはない。この時節に
枇杷
(
びわ
)
の花がさく。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
藪
漢検準1級
部首:⾋
18画
鶯
漢検準1級
部首:⿃
21画
“藪”で始まる語句
藪
藪蚊
藪入
藪蛇
藪畳
藪蔭
藪原
藪睨
藪地
藪柑子