“自(じ)” の例文
さる頃(ころ)はがきにて處用(しよよう)と申こしたる文面(ぶんめん)は男(おとこ)の通(とほ)りにて名書(なが)きも六藏(ざう)の分(ぶん)なりしかど、手跡(しゆせき)大分(だいぶ)あがりて見(み)よげに成(な)りしと父親(ちゝおや)の自(じ)まんより
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
〔譯〕君子は自ら慊(こゝろよ)くし、小人は自ら欺(あざむ)く。君子は自ら彊(つと)め、小人は自ら棄(す)つ。上達(たつ)と下達(たつ)とは、一の自(じ)の字に落在(らくざい)す。
ははあ、それでわかった。自(じ)ままに町を歩かせては人さわがせ、追い出すこともならず、というわけで、ああしてあの一軒家にとじこめ、われらを
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そして、少(せう)々病膏肓(やまひこうこう)に入つたかなとやましくなると、なあに運動(うんどう)のためだといふ風に自(じ)分で自(じ)分にいひ譯(わけ)してゐた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
何が欲しくて、あるいは不平で、宵から自(じ)ぶくれていたのやら、自分でも、気がしれないのだ。
そして本科(くわ)二三年の時分には百五十點(てん)にまでせり登(のぼ)つて、球突塲(たまつきば)の常連(ぜうれん)でも大關格(せきかく)ぐらゐになつたが、何としてもその折(をり)々の氣(き)分に左右され勝ちな自(じ)分の本性(せい)は爭(あらそ)へなかつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
自(じ)まんも恐(おそ)ろしき胴間聲(どうまごゑ)に霞(かすみ)の衣(ころも)衣紋坂(ゑもんざか)と氣取(きど)るもあり、力(りき)ちやんは何(ど)うした心意氣(こゝろいき)を聞(き)かせないか、やつた/\と責(せ)められるに、お名(な)はさゝねど此坐(このざ)の中(なか)にと普通(ついツとほり)の嬉(うれ)しがらせを言(い)つて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
撮影(さつえい)の技量(ぎれう)では自(じ)分が露骨(ろこつ)にうまいなと思(おも)はせられたからである。