ぬけ)” の例文
おれうちで奉公に置いてやろうが、斯様こんな断末場に成ると死ぬ気にもなるもんだが、人間と云うものは少しほとぼりがぬけると、苦しい事を
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぬけ皮、泥亀頭、鼹手もぐら、牛歯、蓮根、茄子、桃、南天賓などの黒焼を売っているのだ。
大阪発見 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「ところで、前から聽き度いと思つて居ましたが、あの姉娘のお茂世さんが閉切つた部屋からぬけ出したり、死骸が出入口のない庭に投り出してあつたのは、どういふわけなんでせう」
たけは六尺ばかり、赤髪あかきかみ裸身はだかみ通身みうち灰色はいいろにて、ぬけたるにたり、こしより下にかれ草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人になれしと高田の人のかたりき。
も手早く〆直しめなほし三十六計逃るにしかじとすきを見合せひよいと身ををどらせて奴等がまたくゞぬけ表の方へ駈出すにヤレ逃すなと追駈おつかくるを表に待たる仲間の雲助共おつと兄イさううまゆくものかと捕へしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
由「あゝ、血が、タ垂れて居ます、南無阿弥陀仏/\血と聞いたらまた腰がぬけッちまいました」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たけは六尺ばかり、赤髪あかきかみ裸身はだかみ通身みうち灰色はいいろにて、ぬけたるにたり、こしより下にかれ草をまとふ。此物よく人のいふことにしたがひて、のちにはよく人になれしと高田の人のかたりき。
そのお猪野——まだ何んか言ひ度さうな顏をしてゐるお猪野と別れて、裏庭の方へ廻ると、八五郎は何時の間にやら平次の側からぬけ出して、五十五六のむくつけき男と話して居りました。
打越うちこえて柴屋寺へといそぎける(柴屋寺と言は柴屋宗長が庵室あんしつにして今なほありと)既に其夜も子刻こゝのつ拍子木ひやうしぎ諸倶もろとも家々の軒行燈のきあんどんも早引てくるわの中も寂寞ひつそり往來ゆきゝの人もまれなれば時刻じこくも丁度吉野屋よしのや裏口うらぐちぬけ傾城けいせい白妙名に裏表うらうへ墨染すみぞめの衣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お粂は私と一と晩、一緒にゐたのは、色戀の沙汰ぢやありませんよ、お粂は昨夜自分の身が危ないと思ひ込み、冗談らしく私の部屋へ飛込んで來て、夜の明けるまで一緒にゐました。夜中にぬけ出して、人などを
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
かけあげなと言れてハイと答へなし勝手口かつてぐちより立出るは娘なる年齡としのころまだ十七か十八こうまつの常磐のいろふかき緑の髮は油氣あぶらけも拔れどぬけ天然てんねん美貌びばうは彌生の花にも増り又中秋なかあき新月にひづきにもおとらぬ程なる一個の佳人かじん身にはたへなる針目衣はりめぎぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)