トップ
>
肝煎
>
きもいり
ふりがな文庫
“
肝煎
(
きもいり
)” の例文
同業者の息子
息女
(
むすめ
)
は大抵この人の
肝煎
(
きもいり
)
で縁を結ぶ。出雲の神さまを住居の出雲町に引っかけて、宮地出雲守という綽名がついている。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼に言わせると、享保以前までの彼の先祖はみな無給で庄屋を勤めて来たくらいで、村の
肝煎
(
きもいり
)
とも百姓の親方とも呼ばれたものである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
島中の忠助さんというような問屋の旦那衆のお
肝煎
(
きもいり
)
で、遠からず、鳴物入りで市場をあっ! と言わせようてんでげすが、どんなもので
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それでも、まあ晨子のことは幸い日下部さんのお
肝煎
(
きもいり
)
でどうやら安堵出来そうでございます。本当におかげに存じておりますよ
伊太利亜の古陶
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「呼んだのは松本三左衛門どの、
肝煎
(
きもいり
)
の小川氏(所長)も同席で、かよい療治の停止と、経費三分の一を削減すると云われた」
赤ひげ診療譚:03 むじな長屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
また、十六歳の信長には、もう
内室
(
ないしつ
)
がきまっていた。父信秀が生前に、平手
中務
(
なかつかさ
)
が
肝煎
(
きもいり
)
して、ようやく成立した婚約であった。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
彼女の手から生れる
可憐
(
かれん
)
な小芸術品は次第に愛好者を呼び集め、去年は幸子の
肝煎
(
きもいり
)
で心斎橋筋の或る画廊を
借
(
か
)
りて個展を開いた程であった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
葬儀は遺言だそうで営まなかったが、緑雨の一番古い友達の
野崎左文
(
のざきさぶん
)
と一番新らしい親友の馬場孤蝶との
肝煎
(
きもいり
)
で、
駒込
(
こまごめ
)
の
菩提所
(
ぼだいしょ
)
で告別式を行った。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
気をつけねえじゃいられねえや——もし、
徽章
(
きしょう
)
を着けていなさるからには世話人だね、
肝煎
(
きもいり
)
だね。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陸軍省の
肝煎
(
きもいり
)
によって、××温泉場から程遠からぬ新設航空機工場の一部が五十嵐超高速機試作のために提供せられ、工作機械、工員などもすっかり準備が整っていた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ほとんど同じ時刻に大巻夫婦も来た。それだけの顔がそろうと、みんなが狭い八畳の座敷に座蒲団を重ねあうようにして坐り、青木医師の
肝煎
(
きもいり
)
で
簡略
(
かんりゃく
)
に
盃事
(
さかすきごと
)
をすました。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それに父の信之は、村方の
肝煎
(
きもいり
)
から諸附合、家にゐることとては夜だけなのだ。從つて、癇癪持のお柳が一家の權を握つて、其一
顰
(
ぴん
)
一
笑
(
せう
)
が家の中を明るくし又暗くする。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
町役人の
肝煎
(
きもいり
)
で、その町内の者でさえあれば、一人三升ずつの米を施していたのです。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
結局、順一の
肝煎
(
きもいり
)
で、田舎へ一軒、家を借りることが出来た。が、荷を運ぶ馬車はすぐには
傭
(
やと
)
えなかった。田舎へ家が見つかったとなると、清二は
吻
(
ほっ
)
として、荷造に忙殺されていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
私などが
肝煎
(
きもいり
)
となつて、「小せん会」と云ふものを作り、毎月一回
何処
(
どこ
)
かの寄席で独演会をやつてゐたが、幸ひにいつも大入だつたのは、要するに当人が芸に熱心だつたからなのであつた。
或る日の小せん
(新字旧仮名)
/
吉井勇
(著)
それですから、新徴組の平の者が二十五両四人扶持、伍長となりまして二十七両五人扶持、
肝煎
(
きもいり
)
というのになって三十両六人扶持、取締りになって三十五両七人扶持、こういう俸給なのである。
話に聞いた近藤勇
(新字新仮名)
/
三田村鳶魚
(著)
そして俳句が上手になるには、師匠と離れてゐるよりも、ずつと近い方に居る方が何かにつけて都合がよからうと思つたので、
良人
(
をつと
)
金子氏の
肝煎
(
きもいり
)
で主人筋鈴木家の薬局に零余子を迎へる事にした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
国産ビールへ入ったのも先生の
肝煎
(
きもいり
)
だった。卒業生売捌係だから職掌上とはいうものゝ、私ぐらい手数をかけている奴はあるまい。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
なんでも近いうちにその伊丹てえお大名の
肝煎
(
きもいり
)
で、お嬢さまと婚礼をしたうえ、正式に大先生の跡目相続をなさるてえ話ですぜ
初午試合討ち
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
徒士目付
(
かちめつけ
)
三人、
書役
(
かきやく
)
一人
(
ひとり
)
、歩兵斥候三人、おのおの一人ずつの小者を連れて集まって来ている。
足軽
(
あしがる
)
の
小頭
(
こがしら
)
と
肝煎
(
きもいり
)
の率いる十九人の組もいる。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
老人たちが
肝煎
(
きもいり
)
で若衆たちの一団が、古風な獅子舞を催して、その一日は、踊って踊りぬいてみようとの意気組みを、お松も喜んで頂戴しました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ほかならぬ、勝入様や氏郷様のお
肝煎
(
きもいり
)
で、かくまでのお扱いとあれば、
万
(
ばん
)
間違いもございますまい」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに父の信之は、村方の
肝煎
(
きもいり
)
から
諸交際
(
しよつきあひ
)
、
家
(
うち
)
にゐることとては夜だけなのだ。従つて、癇癪持のお柳が一家の権を握つて、其
一顰
(
いちびん
)
一笑
(
いつせう
)
が家の中を明るくし又暗くする。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
この書画会の
肝煎
(
きもいり
)
をするのが今の榛原や
紀友
(
きとも
)
のような書画の材料商であって、当時江戸では今の榛原よりは一層手広く商売した馬喰町の扇面亭というが専ら書画会の世話人をした。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
私は赤羽君の
肝煎
(
きもいり
)
で神田のオリエンタル英語学校というのに百円の口を得た。恩給と家庭教師の報酬を力に、その夏辞表を出して上京した。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
俗に施薬院といわれるこの養生所の支配は「
肝煎
(
きもいり
)
」といい、小川氏の世襲であって、幕府から与力が付けられていた。
赤ひげ診療譚:01 狂女の話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
でも、この岡野とやらには、勝のおやじのような出しゃばり屋の千三式の
肝煎
(
きもいり
)
が出来て、ひとまず成功したが、おれの方にはソンナのが現われなかった——
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
主人の
肝煎
(
きもいり
)
で養子に行ったのかも知れない。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いまの玄蕃は二十五歳で家督を相続し、屋敷地割方
肝煎
(
きもいり
)
という殆んど有名無実のような役についていた。
改訂御定法
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
こう少しの無駄もなく目まぐるしいほどグイ/\と事の運ぶのは、皆柴さんの
肝煎
(
きもいり
)
だった。こゝは大都会だけに一同共通の友達が柴さんの外にもまだあるそうだ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
林大学頭
(
はやしだいがくのかみ
)
のところへ連れて行きおったが、それより聖堂の寄宿部や、保木巳之吉と佐野郡衛門という
肝煎
(
きもいり
)
のところへ行って、大学を教えてもらったが、学問は嫌い故、毎日毎日
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
村役
(
むらやく
)
捕役
(
とりやく
)
肝煎
(
きもいり
)
どん、あんふとたちのおらすけんで、
後
(
あと
)
は
何
(
ど
)
うなっときゃあなろたい。
川端町
(
かわばたまっ
)
ちゃんきゃあめぐらい。
春日
(
かすが
)
ぼうぶらどんなしりひっぱって、花ざあかり、花ざあかり
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ことに、七兵衛入道の
肝煎
(
きもいり
)
ぶりというものが無類です。動かす必要のない船を預かる場合に於て、水も
洩
(
も
)
らさぬ用心が、この入道の胸にあることも、船中の信頼の一つでありました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『嫁入りしたこたしたばってん。
権左衛門
(
ごんじゃあ
)
どんの
痘痕面
(
ぐじゃっぺ
)
だっけん、まあだ盃やせんじゃった。村役、捕役、
肝煎
(
きもいり
)
どん、あん
人達
(
ふとたち
)
の
居
(
お
)
らすけんで、後は
何
(
ど
)
うなと、きゃあ、なろたい』
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そこまでは観察を
逞
(
たくま
)
しくしないで、そうしてまた会所の方へとって返そうとすると、ドヤドヤと羽織袴の、町の
肝煎
(
きもいり
)
みたようなのが、人足をつれて出て来て、通行人をいちいち制したり
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この谷へ移動させるまでに
肝煎
(
きもいり
)
をしていてくれたのもまたこの人、親切であって、ちょっとの抜りもない人だが、しかし、その親切ぶりと、抜りなさ加減に多少、気味の悪いところもある。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人間の皮をかぶった
獣
(
けだもの
)
じゃとばかりおっしゃって、
交際
(
つきあい
)
も、口きくこともせなんだじゃないか、それを何と思って、こんなに
肝煎
(
きもいり
)
ぶりをなさるのは、たいがい様子が知れたものじゃ、お前はこの
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
不破の関守氏が
肝煎
(
きもいり
)
となって、何か相当の客をこの一棟へ招くらしい。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一行の
肝煎
(
きもいり
)
が、はえない返事。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
肝
常用漢字
中学
部首:⾁
7画
煎
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
“肝煎”で始まる語句
肝煎役