あやつ)” の例文
其船頭そのせんどう悠然いうぜんとして、片手かたてあやつりはじめながら、片手かたてみづとき白鷺しらさぎ一羽いちはひながらりて、みよしまつたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
全く宗教をことにしている北と南とをきくるめて、人心の帰嚮きこうあやつって行かなくてはならないし、外交の上でも、いかに勢力を失墜しているとは云え
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
するとあたかも糸でひかれた、あやつり人形がたおれるように、そのひかれた鉄扇に連れ、千代千兵衛のからだはパッタリと、前のめりにたおれたが、起き上がることが出来なかった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
溜池ためいけ真中まんなかあたりを、頬冠ほおかむりした、色のあせた半被を着た、せいの低い親仁が、腰を曲げ、足を突張つッぱって、長いさおあやつって、の如く漕いで来る、筏はあたかも人を乗せて、油の上をすべるよう。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
足の糸は解くによしなし。さきにこれをあやつりしは、わがなにがし省の官長にて、今はこの糸、あなあわれ、天方伯あまがたはくの手中に在り。余が大臣の一行とともにベルリンに帰りしは、あたかもこれ新年のあしたなりき。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一人で櫓櫂ろかいあやつって紫錦は湖水を引き返した。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
溜池ためいけ眞中まんなかあたりを、頬冠ほゝかむりした、いろのあせた半被はつぴた、せいひく親仁おやぢが、こしげ、あし突張つツぱつて、ながさをあやつつて、ごといでる、いかだあたかひとせて、あぶらうへすべるやう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)