づな)” の例文
力をこめて手応てごたえをためし、よしと思うとその男のかげ、度胸どきょうよく乗ってきた小舟をながし、スルスルと一本づなへよじのぼりだした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども、そのあたりは、とてもとても深いので、どんなに長いいかりづなをおろしても、底まで届くようなことはありません。
堤坊どてうへのあのやなぎ切株きりかぶこしをかけてさるのひかへづなにぎつたなり、俯向うつむいて、ちひさくなつて、かた呼吸いきをしてたのがその猿廻さるまはしのぢいさんであつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
水夫らがつなづなを受けたりやったりする音と、鋲釘びょうくぎを打ちつけたくつ甲板かんぱんを歩き回る音とが入り乱れて、頭の上はさながら火事場のような騒ぎだった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「よしッ、話そう、だが潮がそろそろやってきたようだ、まず、ともづなをとこうじゃないか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
浜べはもういつのまにか大人おとなまでがまじっての大かんげいになった。船頭せんどうさんのなげたともづな歓呼かんこの声でたぐりよせられ、力あまって船は砂浜まで引きあげられるさわぎだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
煙の中で、町の鍛冶屋かじやのような音が聞こえはじめた。かーん、かーんとびょうをうつような音もする。つづいて、ぎりぎりぎり、ぎりぎりぎりと、ワイヤづなが歯ぎしりをかむような音もする。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
圓鋸機ゑんきよき帶形鋸機たいけいきよきのほとりには、角材かくざい鐵材てつざいやまごとく、其他そのほか空氣壓搾喞筒くうきあつさくぽんぷ電氣力發機等でんきりよくはつきとう緻密ちみつなる機械きかいより、銀鑞ぎんらう白鑞はくらう、タールづな、マニラづな縫糸ぬひいと撚糸よりいと金剛砂布こんがうしやふ黒鉛こくゑん氣發油きはつゆう白絞油はくかうゆう
空気を送るくだと、いのちづなが、グングンのびていきます。
海底の魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いのちづな
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
決然けつぜんというと龍太郎りゅうたろうは、やなぎの根へかけって、わたづなにそえてあるともづなをこころみにグイと引ッぱってみた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きな石にともづなをとるのをまって
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
づな
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
涼みごしらえの山一丸で、一人の男がこう云いながら、みよしもやづなを解きかけていると
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)