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盲
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めしい
ふりがな文庫
“
盲
(
めしい
)” の例文
暗澹
(
あんたん
)
な思いでいましたが、
盲
(
めしい
)
の覚一どのですら、燃ゆるような一念をお持ちだし、あなたもそれを生きがいに世を愉しんでいらっしゃる。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
己を深く信じて行われた事は奇蹟となって現れ水を酒ともおかえなされ又
盲
(
めしい
)
たものに再びこの世の光りをおあたえなされる事も出来たのじゃ。
胚胎
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
己
(
おの
)
が唇を許した二人の男を前に、こうまでも厚顔であり無恥である彼女の態度は、蔑まれるべく十分であった。しかし、私達は明らかに
盲
(
めしい
)
ていた。
空飛ぶ悪魔:――機上から投下された手記――
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
いつのまにか外は霧が薄らいで、桃色の明るみに変っていた。煖炉の火が消えかかっていた。電灯の消えた室内に、茫とした
盲
(
めしい
)
たような明るみがあった。
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
正道はなぜか知らず、この女に心が
牽
(
ひ
)
かれて、立ち止まってのぞいた。女の乱れた髪は
塵
(
ちり
)
に
塗
(
まみ
)
れている。顔を見れば
盲
(
めしい
)
である。正道はひどく哀れに思った。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
あらゆる恐ろしいもの、あらゆる醜いもの、あらゆる色彩、あらゆる動き、あらゆる音響が、彼の脳髄を
痴呆
(
ちほう
)
にし、彼の眼を
盲
(
めしい
)
にし、彼の耳を耳なえにした。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
唖
(
おし
)
、
聾
(
つんぼ
)
、
盲
(
めしい
)
などは不幸には相違ありません。言うあたわざるもの、聞くあたわざる者、見るあたわざる者も、なお思うことはできます。思うて感ずることはできます。
春の鳥
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
しかしながら、単なる時の経過では決して
曙
(
あ
)
けさせることのできない、あの朝の性格はこのようなものなのだ。われわれの眼を
盲
(
めしい
)
さす光りは、われわれにとっては闇にすぎない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
一
艘
(
そう
)
の
厄介船
(
やっかいぶね
)
と、八人の
厄介
(
やっかい
)
船頭と、二十余人の
厄介
(
やっかい
)
客とは、この一個の
厄介物
(
やっかいもの
)
の手に
因
(
よ
)
りて
扶
(
たす
)
けられつつ、半時間の
後
(
のち
)
その命を拾いしなり。この
老
(
お
)
いて
盲
(
めしい
)
なる
活大権現
(
かつだいごんげん
)
は何者ぞ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれ等の官能は
盲
(
めしい
)
ている。是非もない。村山の「マヴオ」がスピツベルゲンなら、エイスケの「バイチ」はバタゴニヤだ。勿論かれ等は初めから芸術などという古い観念を破壊しているのだ。
惰眠洞妄語
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
盲
(
めしい
)
の悲しさ、刀を持つ
術
(
すべ
)
は知らないが、鍼を持っては人に
後
(
おく
)
れを取ろうとも覚えない、今打ったのは、十四経にも禁断の鍼として、固く戒めている
頂門
(
ちょうもん
)
の
死針
(
しにばり
)
、どうもがいても助かりようは無い
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「はい。お変りなく、と申しあげても、
盲
(
めしい
)
の身、御成人ぶりも仰げません。……私も大きくなったでございましょう」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真面目な科学者は、彼の片目を
盲
(
めしい
)
にした爆発物を、なお残りの隻眼で分析する勇気と、熱愛と、献身とを持つ
地は饒なり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
東の空の大きな黒雲の影に包まれて、
盲
(
めしい
)
たようなだだ白い明るみが遠くまで一様に澄み切っていた。
月明
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
が、脈を打って吹雪が来ると、呼吸は
咽
(
むせ
)
んで、目は
盲
(
めしい
)
のようになるのでありました。
雪霊続記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「こんなときは、
盲
(
めしい
)
が悲しゅうございます。私を連れては、お母あさまだって、どうする思案もつかないでしょうに」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……ふと、病まれてすらそうなのに、
盲
(
めしい
)
のお子の母御さまは、どんなお気持ちやらと、お見かけした途中から、
他人事
(
ひとごと
)
ならず、お察し申しておりました
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それもこの目の
盲
(
めしい
)
がさせてくれたのだ。目が見えぬゆえ人皆の欲しがる物に思いをわずらわされずに。……して、お
辺
(
へん
)
は湊川合戦の後は、どこに?」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……
盲
(
めしい
)
の法師やその母ぐらいはよろしいが、かまえて、足利家の人間を、東宮へ近づけてはならんよ」——と。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昨夜、淀の辺にて、配下の者が、人もあろうに、足利殿の御縁者という
尼前
(
あまぜ
)
と
盲
(
めしい
)
のお息子を、ほかの怪しき
雑囚
(
ざっしゅう
)
と共に、つい六波羅牢へ曳き入れまいた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
職屋敷ではまず従来から乞食扱いにされていた
盲
(
めしい
)
の琵琶弾きを収容して、これに官の
印可
(
いんか
)
と保護を与えた。また、すさんだ大道芸に
平曲
(
へいきょく
)
のよさを習得させた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この大きな世の波濤に会ってその姿も見せなくしている無数な弱き者——磯べの貝殻のような力なきもの——
盲
(
めしい
)
の覚一やら草心尼などの安否もふっと思い出されていた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
盲
(
めしい
)
の覚一と草心尼とを、彼も忘れていなかった。とくに一色右馬介は、六波羅攻めの当夜から、兵をつれて捜し求めていたが、今日までその安否も分らずにいたのである。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「子の覚一のことか。ならばその子も、義貞が手にひきとって、たとえ
盲
(
めしい
)
でも、ひとかどの者にしてつかわそう。……のう小夜野、なにもさまで悲しむことはなかろうに」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど老成してござるから
聖
(
ひじり
)
といってもおかしくない。
盲
(
めしい
)
最上の
位
(
くらい
)
なので、
緋
(
ひ
)
の
衣
(
ころも
)
に、検校帽子をかぶり、後ろに
燕尾
(
えんび
)
を垂れて行くさまは、
唐画
(
とうが
)
の人を見るようじゃったな
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「かれに君臣の道が明らかに見えているくらいなら、今日の禍いは起りません。かれはもう道義の
盲
(
めしい
)
、人倫の
外道
(
げどう
)
と化しておる者です。人として考えるわけにはゆきません」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだまだおまえは
修行
(
しゅぎょう
)
が足りない。なぜ
盲
(
めしい
)
となったなら、
心眼
(
しんがん
)
をひらくくふうをせぬ。ものは目ばかりでみるものではない。心の目をひらけば
宇宙
(
うちゅう
)
の果てまで見えてくるよ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、この騒ぎも、ほどなく
鎮
(
しず
)
まろうが、しかし、当分は世間も物騒、
尼前
(
あまぜ
)
や
盲
(
めしい
)
の
外出
(
そとで
)
など、思いもよるまい。お二人には、しばらく、この小松谷におられるがようござる」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
の官名をゆるされたので、
盲
(
めしい
)
のことゆえ、彼が介添えのもとにまかり出たものであるとか。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ十一、二歳でしかあるまいに、いたましいことに、
盲
(
めしい
)
であった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「とは申せ、
盲
(
めしい
)
を連れていること。行き暮れておりますうちに……」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど
盲
(
めしい
)
の直感には、まっ暗な秘密の
淵
(
ふち
)
が、右馬介のことばの先にある気がされた。——それは訊いてもよくないことだろうし、あきらかに教えもしまい。——そう得心したように覚一もまた黙った。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝は、
盲
(
めしい
)
の覚一にも、心が濡れるほど美しい。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まことに、
盲
(
めしい
)
の一念とでは」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だって、そなたは
盲
(
めしい
)
なのに」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
盲
(
めしい
)
か」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
盲
常用漢字
中学
部首:⽬
8画
“盲”を含む語句
盲目
盲人
明盲
文盲
盲者
目盲
盲女
盲滅法
盲目滅法
俄盲目
盲探
盲目的
色盲
盲唖
盲信
盲暦
膏盲
盲御前
盲目突
盲昧
...