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焼火箸
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やけひばし
ふりがな文庫
“
焼火箸
(
やけひばし
)” の例文
六条は、突然右
胸部
(
きょうぶ
)
に
焼火箸
(
やけひばし
)
をつきこまれたような
疼痛
(
とうつう
)
を感じた。胸に手をやってみると、
掌
(
てのひら
)
にベットリ血だ。とたんに彼ははげしく
噎
(
む
)
せんだ。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その言葉の端が大西氏の
焦立
(
いらだ
)
つた神経に触つたものか、博士のお
喋舌
(
しやべり
)
が済むか済まないうちに、大西氏はいきなり
焼火箸
(
やけひばし
)
のやうな真赤な言葉を投げつけた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
四つか五つの時分に、
焼火箸
(
やけひばし
)
を
捺
(
おし
)
つけられた
痕
(
あと
)
は、今でも丸々した手の甲の肉のうえに
痣
(
あざ
)
のように残っている。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
蝮
(
まむし
)
の首を
焼火箸
(
やけひばし
)
で突いたほどの
祟
(
たたり
)
はあるだろう、と
腹
(
おなか
)
じゃあ
慄然
(
ぞっと
)
いたしまして、
爺
(
じじい
)
はどうしたと聞きましたら
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
焼火箸
(
やけひばし
)
をいきなり尻にあてることや、六角棒で腰が立たなくなる程なぐりつけることは「毎日」だった。飯を食っていると、急に、裏で鋭い叫び声が起る。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
嫁入着物に
糊附
(
のりづ
)
けものを売ったため、
嫁御寮
(
よめごりょう
)
の変死から、その母親が怨みの
呪
(
のろ
)
い「め」と書いては
焼火箸
(
やけひばし
)
をつきさしていたという、怪談ばなしの本家江島屋の
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今夕、病院が終ると、先生、病院の鍵をかけ、諸井看護婦を裸に縛りあげて、
焼火箸
(
やけひばし
)
と、外科のメスだの
鋏
(
はさみ
)
だの取そろえましてね、驚くべき拷問をはじめたのですね。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
この船が毎日毎夜すこしの
絶間
(
たえま
)
なく黒い
煙
(
けぶり
)
を吐いて
浪
(
なみ
)
を切って進んで行く。
凄
(
すさま
)
じい音である。けれどもどこへ行くんだか分らない。ただ波の底から
焼火箸
(
やけひばし
)
のような太陽が出る。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
といった
工合
(
ぐあい
)
で、呑込むと、
焼火箸
(
やけひばし
)
を
突込
(
つっこ
)
むように、
咽喉
(
のど
)
を貫いて、ぐいぐいと胃壁を刺して下って行く。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして、しまいには
焼火箸
(
やけひばし
)
のようにじゅっといってまた波の底に沈んで行く。そのたんびに
蒼
(
あお
)
い波が遠くの向うで、
蘇枋
(
すおう
)
の色に
沸
(
わ
)
き返る。すると船は
凄
(
すさま
)
じい音を立ててその
跡
(
あと
)
を
追
(
おっ
)
かけて行く。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
始終めそめそしていたお島は、どうかすると母親から、小さい手に
焼火箸
(
やけひばし
)
を押しつけられたりした。お島は涙の目で、その火箸を見詰めていながら、剛情にもその手を引込めようとはしなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
焼火箸
(
やけひばし
)
を
咽喉
(
のど
)
もとに差込まれるような感じをさせることであった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「うむ、じゃアありません。そんなことをお言いだと私ゃ金魚を
怨
(
うら
)
みますよ。そして貢さんのお見えなさらない時に、
焼火箸
(
やけひばし
)
を
押着
(
おッつ
)
けて、ひどい目に逢わせてやるよ。」
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もっとも今夜に限って酒を
無暗
(
むやみ
)
にのむ。平生なら
猪口
(
ちょこ
)
に二杯ときめているのを、もう四杯飲んだ。二杯でも随分赤くなるところを倍飲んだのだから顔が
焼火箸
(
やけひばし
)
のようにほてって、さも苦しそうだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と調子はおっとり聞こえたが、これを耳にすると
斉
(
ひと
)
しく、立二は
焼火箸
(
やけひばし
)
を
嚥
(
の
)
んだように
突立
(
つッた
)
った。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
安達ヶ原でない
証
(
しるし
)
には、出刃も
焼火箸
(
やけひばし
)
も持っていない、
渋団扇
(
しぶうちわ
)
で松葉を
燻
(
いぶ
)
していません。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古手拭
(
ふるてぬぐい
)
で、我が鼻を、
頸窪
(
ぼんのくぼ
)
へ
結
(
ゆわ
)
えたが、美しい女の冷い鼻をつるりと
撮
(
つま
)
み、じょきりと庖丁で
刎
(
は
)
ねると、ああ、あ
痛
(
つつ
)
、
焼火箸
(
やけひばし
)
で
掌
(
てのひら
)
を貫かれたような、その
疼痛
(
いたさ
)
に、くらんだ目が、はあ
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
髪の毛を
毮
(
むし
)
られていようが、
生爪
(
なまづめ
)
をはがれて
焼火箸
(
やけひばし
)
で突かれていようが、乳の下を蹴つけられて、
呼吸
(
いき
)
の絶えるような事が一日に二度ぐらいずつはきっと有ろうと、暗い処に日の目も見ないで
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とんと打入れる
発奮
(
はずみ
)
をくッて、腰も据らず、
仰向
(
あおむけ
)
に
引
(
ひっ
)
くりかえることがある、ええだらしがない、尻から
焼火箸
(
やけひばし
)
を刺通して、畳の
縁
(
へり
)
に
突立
(
つッた
)
ててやろう、転ばない
呪禁
(
まじない
)
にと、陰では口汚く
詈
(
ののし
)
られて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
焼
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
箸
常用漢字
中学
部首:⽵
15画
“焼火”で始まる語句
焼火
焼火山