無視むし)” の例文
これが節分せつぶんばんである。大都會だいとくわい喧騷けんさう雜音ざつおんに、その、そのまぎるゝものは、いつか、魔界まかい消息せうそく無視むしし、鬼神きじん隱約いんやく忘却ばうきやくする。……
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それは、ふたりのともだちの消息しょうそくがわからないということよりも、なかでいちばんうつくしいのは、はなひかりであると、がいったというなら、自分じぶんは、まったく無視むしされたためです。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其所で彼は家庭に於ける思索家となツて、何時も何か思索にふけツてゐる、そして何時とは無く實際をうとんずるといふふうが出來て來て、すべての規則きそく無視むしする、何を爲すのも億劫おつくうになる、嫌になる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼等かれらいはゆる『世界改造せかいかいざう偉業ゐげふ』に參加さんかすべき責任せきにんいうしているんぢやないか。國内政治機關こくないせいぢきくわん改造かいざう要求えうきうする人民じんみんこゑ無視むしするわけくまいぢやないか。どうだいきみきみはサウおもはないんか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
もともと神霊界しんれいかいありての人間界にんげんかいなのでございますから、今更いまさら人間にんげん旋毛つむじげて神様かみさま無視むしするにもおよびますまい。神様かみさまほうではいつもチャーンとお膳立ぜんだてをしてってくださるのでございます。
男の子と上の妹はかれらにできそうなあらゆるいたずらをした。父親と母親はわたしを無視むしして、いてもいない者のようにあつかった。そのくせ毎晩まいばんわたしから金を取り立てることはわすれなかった。
先生はもうそれを無視むしして、つぎつぎと名前を呼んだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
よくその意味いみはわからぬが、ぼく存在そんざい無視むしするということでないだろうか。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)